企画・記念 3 「俺は友達じゃないって言ったし。人の話聞かないし」 「優羽」 「名前呼ばないでよ。名前呼んでいいのは五月先輩だけだから」 「…優羽」 転校生が俺に手を伸ばして来た。 だけど、それが俺に触れることはない。 「優羽に触っていいのも僕だけだから」 俺は今先輩の腕の中だ。 「…お前らって……」 今まで傍観していた会長が口を開く。 「恋人だけど、どうかしましたか会長様?」 五月先輩が楽しそうに微笑む。 会長たちだけでなく周りにいた下っ端の親衛隊も騒ぎ出す。 幹部たちはまたかと呆れ顔だけど。 「お前、俺らの親衛隊隊長だよな?」 放心ぎみの会長が問う。 「そうですよ。でも優羽の恋人なんです」 俺より少し身長の高い先輩が嬉しそうに俺の首筋に顔を埋める。 こうして触れ合うのは本当に久し振りで、俺もそろそろ我慢の限界だったから嬉しい。自然と頬が緩む。 そしたら、また周りが騒ぎ出した。 「優羽、あんまり笑っちゃダメだってば」 五月先輩が拗ねたような口調で告げる。 なんでか知らないけど、先輩は人がたくさんいるところで俺が笑うのをよしとしないんだ。 そんなにひどい顔なのかな……。 「そんなに落ち込まないで。優羽が笑うのは僕だけで良いんだからね」 「うん」 先輩がそう言うならいいや。 [*前へ][次へ#] [戻る] |