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企画・記念
4
 世界を温かな光が包み込み、さまざまな光の粒子が飛び交っている。
 それを生みだすのは“神子様”の紡ぐ神への祈り。
「綺麗………」
 僕は思わず呟きを溢してしまいました。だって、本当に綺麗なんです。
 祈りの間で白い衣装に包まれた神子様――――聖人様の祈りが世界をここまで輝かせている。
 その光景を目にしている全ての人々が聖人様に釘付けになっています。
 ですが……
「嘘だ!神子は俺なんだ!!聖人なんかじゃない!!」
 愛羅様だけがその静かな空間を打ち砕く。
 でも、もう愛羅様の言葉に耳を傾ける者はだれもいませんでした。王子様も宰相様も団長様も皆、言葉なく立って居られる。
 祈りが終わると、光が次第に消えていく。
「聖人様――いいえ、神子様、御降臨喜び申しあげます。神より、貴方の願いをひとつ叶えるよう申しつかっております」
「………では、アルベルト・ハインケル伯爵との婚姻の許可を」
「はい。いいですね、国王陛下」
「…………いたしかたない」
 神官長様がおっしゃっていたのはこのことだったんですね。確かに、僕が心配する必要なんて最初からなかったようです。
「おめでとうございます、聖人様」
「ありがとう、セツ」
 微笑まれる聖人様はやはり綺麗でした。
「ちょっと、待てよ!!俺はまだ認めてないぞ!!何で聖人なんかが神子なんだ!!俺の方がふさわしいし、聖人なんかよりも俺の方が綺麗だろ!!王子だって、宰相だってそう言ってたじゃないか!!」
 愛羅様に名指しされた2人は気まずそうに目を逸らす。
「うるさい。少し大人しくすることを学んだほうがいい」
 その時、神官長様の声がその場に響きわたりました。
「お前のことも神から言いつかっている」
「本当か!!やっぱり俺が神子だったんだな!!」
「あぁ。お前を今直ぐ元の世界に戻せとな」
「え?」
 神官長様が愛羅様の肩に触れた瞬間、愛羅様の足元に魔方陣が輝き、その場から愛羅様の姿が消えた。
「一件落着」
「待て!愛羅をどこへ?!」
 今まで黙っていた王子様が声を上げる。
「元の世界にお返ししました」
「そんなことが出来るのか?」
「はい。ですが、神のお力を借りなければいくら私でも出来ませんが」
「つまり、神の意思だと」
「はい。………お話はそれだけでしょうか?では、これから神子様とハインケル伯爵の式の打ち合わせをしなければならないのでお引き取りを」
 有無を言わせない神官長様の態度に王様以下皆様は神殿を後にされました。
 聖人様の傍らにはアルベルト様が支えるように立っている。
 その雰囲気があまりに甘くて僕には刺激が強すぎます。


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