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企画・記念
2
「大きいですねー」
 馬車に揺られ連れて来られた建物の前でミヤビは上を見上げながら呟く。
 ビルのように高いその塔のような建物は、この国一の王立図書館だった。
「さあ、中に入ろう」
 ヴィクトールにリードされながらミヤビは中にと足を向ける。
 中はもう夢のような光景だった。
「わ〜」
 キラキラとミヤビも目が輝きだす。
 壁前面に敷き詰めたれるように並んだ本棚にはぎっしりと本が並べられ、何階まであるのか分からないフロアの上の方までそれが続いているのがわかる。
「ここにある本、どれでも読んでいいんですか?!」
 興奮気味にミヤビがヴィクトールに問いかける。
「ああ、2階に王室専用の閲覧室があるから本を選んだらそこに行こう」
「はい。じゃあ、すぐに選んできますね」
「ゆっくりでもいいよ」
 ヴィクトールは笑みを含めながら優しく告げる。
 駆けだしたいのを我慢してミヤビはまず手前の本棚をあさりだす。
 約10冊近い本を両手に抱えるミヤビの顔には笑みが広がっている。
 だが、歩きだして数歩したとき、ミヤビは何もない場所で躓いてしまった。
 手から本が零れ落ちる。ミヤビは、床と接触する寸前の所で駆けつけてきたヴィクトールに抱きとめられた。
「ありがとう、ヴィクトール様。なんか今日は足の調子が良くないみたい」
 ミヤビはそう告げながらも足を見つめる。
 そこにはいつもと変わらない自分の足がある。
 だが、どこかいつもと違う。
 でも、それが何なのかわからない。
 散らばってしまった本は侍女たちによって拾い上げられた。
「今日のミヤビは危なっかしいから私が運ぼう。階段から落ちたら大変だからな」
 ヴィクトールはどこか嬉しそうにそう告げるとミヤビをしっかりと抱き上げた。
「ごめんなさい」
 素直にミヤビは謝る。
 ヴィクトールはそのまま階段を上げる。
「重くないですか?」
「軽い位だよ」
 ヴィクトールの言葉は嘘ではないのだろう。その足取りはいつもと変わらず軽やかだ。

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あきゅろす。
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