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企画・記念
9
Side芳
 
 次の日、紫苑様が迎えに来てくれた。
 でも………。
「あの、紫苑?僕自分で歩けるんだけど…」
「病み上がりなんだ。気にするな」
 気にしますよ!
 だって、周りの生徒からの目が痛いんだってば!
「そう言えば、今日はなんか静かだね」
 僕は何気なくそう話を振った。
「…そうだな」
 紫苑様は短くそう頷くだけだったけど、何かがあったのはなんとなくわかった。
 それを隠したいのも。
「芳」
「なに?」
「…どこにも、行くなよ」
 真剣な、そしてどこか悲しそうな紫苑様の目が真っ直ぐ僕を見つめる。
「どこにも行かないよ。紫苑と一緒にずっといる。もう、僕は間違えたりしない」
 あの時、選択を間違えたのは僕だった。
 紫苑様を想うなら、ただ受け入れるんじゃなくて向き合うべきだったんだ。
「紫苑、僕はね、本当に紫苑が大好きだよ」
「芳……俺も、愛してるよ。もう、一生離さない」
 紫苑様の顔が近づいてくる。
 僕は目を閉ざし、近づいてくる温もりに身を任せた。
 その数分後、集まっていた観衆の存在に気づいた僕は、自分から紫苑様の胸に顔を埋めることとなった。


END


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あきゅろす。
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