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企画・記念
4
Side紫苑

 一瞬、何が起こったのかわからなかった。
 支えていた大切な存在が不意に前に倒れて行った。
「芳!!」
 慌てて抱きとめるが、もう意識を失っていた。
 後ろを見ると、食堂の椅子を握りしめた転校生が暗い笑みを浮かべてこっちを見ている。
 触れた芳の頭部は出血しているらしく、手がその血で濡れていく。
 瞬間、頭に血が上った。
 転校生を殴ろうと動こうとした瞬間、俺の目の前に小さな背中が入り込んできた。
「御代様、ここは僕らが何とかしますので至急保健室へ芳様を連れて行って下さい!保健医にはすでに連絡がいっていますので」
 その一言で頭がスッと覚める。
 芳の治療が最優先だ。
「…そいつは捕獲次第縛って風紀に下げ渡しておけ。後で俺も向かう」
「畏まりました」
 もうそれ以上そこには留まらず、あまり振動を与えないようにでも出来るだけ早く芳を保健室まで運んだ。


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あきゅろす。
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