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企画・記念
2
 久しぶりの学校は前よりもだいぶ落ち着いた雰囲気だ。
 まあ、理由は親衛隊にある。
 何でも、紫苑様のところ以外の役つきの親衛隊は解散したそうだ。
 無理矢理ではなく自主的に。
 友人の腐男子曰く「あんな人たちなんて好き勝手ヤラれちゃえ!」と隊長たちが叫んでいたらしい。
 親衛隊の解散からは、転校生くんも他の取り巻きのことも皆いない存在みたいに扱ってるんだって。
 そんな状態にも気づかない彼らは本当にすごいと思う。逆に感心しちゃう。
「芳、食堂行くぞ」
「うん」
 今日はお弁当が作れなかったから紫苑様と食堂に。
 …朝から紫苑様が放してくれなかったんだから仕方ないって思うことにしてる。
 食堂に入ると紫苑様に注目が集まる。
「…御代様」
 その時、紫苑様の親衛隊長さんが話しかけてきた。
「今、あれらが上にいるので下の方で席を用意させていただいております」
「わかった」
 隊長さんに連れられて案内されたのは、食堂の端で、上からはちょうど死角になる場所だった。
「近くに控えておりますので、もしものときは対応させていただきます」
 隊長さんはそう言うと離れて行ってしまった。
「芳、何を食べる?」
 紫苑様がタッチパネルを操作しながら聞いてくる。
 本当なら僕がやらなきゃいけないことなのに、紫苑様は僕にはなにもさせたくないみたいだ。
「えっと…Aランチで」
「俺はパエリアにするか」
 そう言って注文を終えると、しばらくしてウェイターが運んできた。
 今日のランチはグラタンに、サンドウィッチ、シーザーサラダだった。
 グラタンの上のチーズが程良く蕩けていて美味しそう。
「いただきます」
 久しぶりの食堂の味に舌鼓を打つ。
 僕ももっと頑張って紫苑様に喜んでもらわなきゃ。
 このグラタンの作り方とか聞いたら教えてもらえないかな…。
「美味いか?」
「うん」
「これも一口食べてみろ」
 そう言って紫苑様がスプーンを差し出してくる。
 あまり行儀のいいことではないけど、楽しそうに笑ってるから断れず、それを口にする。
「美味しい」
 味がしっかりとついたパエリアはとても美味しかった。
「俺にも食べさせてくれ」 
 そう言われて、グラタンを掬うと紫苑様の口に運んだ。
「美味いな」
 そう言って笑う紫苑様に僕もはにかむように笑った。


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