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企画・記念
4
「そういえば、この前さー「智樹、俺のケータイしらね?」………」
 その時、ノックもなしに扉が開かれ、そこには背の高い顔立ちの整った男性が立っていた。
「兄貴、今客来てんだけど」
 智樹はそう言って苦笑する。
「あー、悪い。智樹の友達?」
「あ、はい。湯尾 南って言います。はじめまして」
「智樹の兄の斎(イツキ)です。いつも愚弟が世話になってます」
「いいえ、こちらこそ、お世話になってます」
 南と斎は互いに頭を下げ合っている。
「何畏まった挨拶してんの。兄貴そんなキャラだっけ?」
「うっせ。最初が肝心ってよく言うだろうが」
 斎はそう悪態をつく。
 その時、初めて南は斎の顔を良く見た。
「…あの…もしかして、モデルさんとかされてますか?」
 そう、斎の顔こそ、先程の雑誌で見ていた彼にそっくりなのだ。
「そうだよ。何、知っててくれたの?」
「あ、いえ…あの、さっき、雑誌で少しだけ…」
 南は言いにくそうに告げる。
「いいの、いいの。気にしないで。俺もまだまだってことだから」
 斎はそう言って笑った。
「すみません」
「いいって」
 優しい笑みを浮かべながら斎はすまなそうにしている南を気遣うように答える。
「うわ、兄貴が優しいとか明日は雪かも」
 智樹は嫌そうに眉を寄せる。
「うるせ。それより俺のケータイ見なかったか?」
「見てないけど?」
「そっか…どこ行っちまったんだろ…。まあ、いいや。邪魔して悪かったな。南くんもごめんな。ゆっくりしてって」
「いいえ。ありがとうございます」
 南はそう言って微笑んだ。 
 斎はそのまま部屋を後にした。
「ごめんな、急に」
 智樹は南に謝る。
「何が?」
「兄貴、びっくりしただろ?今日は撮影だって言ってたから帰りが遅いと思ってたんだ」
「気にしなくていいよ。お邪魔してるのは僕の方だし」
「ありがとう。そう言ってくれると気が楽だ」
 智樹はそう言って笑った。南もつられるようにして微笑んだ。
 智樹は南のその顔が見られて少しだけホッとした。


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あきゅろす。
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