小説(現代) side補佐 目を開けた時、目の前に会長がいた。 一瞬夢かと思った。だけど、夢じゃないとすぐ分かった。 逢いたくなかった。 辛いんだ。貴方に逢うと。 泣きなくなるんだ。 なのに、どうして泣いているのが貴方なんだろう。 触れてもいいだろうか。 「…泣かないで、会長。何があったんですか…?」 僕は問うことしかできない。 ふいに彼が僕の手を握って来た。 「…好きだ。好きなんだ。どうしようもなく、お前が」 彼が告げる言葉が一瞬理解できなかった。 彼は俯いたまま僕を見ない。 痛い位握られている手から彼の体が震えているのが伝わってくる。 貴方は何を怖がっているの? 僕はこんなにも嬉しいのに。 涙が止らない。 言っても…言いのかな。 僕が貴方をどう思っているか。 貴方は聞いてくれますか。 「…好きです。貴方が好き。何よりも誰よりも。貴方の側にいたい………!」 僕の気持ちは貴方に届きましたか。 僕には貴方の心が届きました。 END [*前へ] [戻る] |