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小説(現代)
9
 涼のマンションに着くと、鍵が掛かっていた。
 持っていた合鍵で鍵をあける。
 中も明かりがついてなく、真っ暗だ。
「…涼?」
 名前を呼ぶが返事はない。
 手探りで電気を付け、廊下を進む。
「涼…居ないの?」
 リビングのドアを開けながら問いかける。
「…っ!!」
 望は背中に強い衝撃を受けた。
 気づけば、床に押さえつけられている。
 見上げた先には薄明かりでもはっきりと涼の姿を捉える事が出来た。
 でも、表情までは読み取れない。
「…どうかしたの?」
 問いかけるが返事はない。
 望は、どうしたらいいのか、何がしたいのか、わからない。
 ただ、いつもと少し違う気はしていた。
 まず、いつも居る浮気相手がいない。
 さっき、確かに女の子と歩いていたはずなのに。
 涼が、浮気相手を返すなど、望と付き合いだしてからは初めてだ。
「涼?」
 もう一度名前を呼ぶ。
 しかし、反応はない。
 重たい空気がその場を満たす。
 望は起き上がることも、何か話しかけることも出来ず、ただ、涼の出方を待っていた。


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あきゅろす。
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