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小説(現代)
7
「ならよかった」
 友基は優しく微笑みかけた。
 だが、その次の瞬間、笑い合っていた望の表情が固まった。
 友基が望の視線の先を追いかけるとそこには涼がいた。
 その隣には、また違う女子の姿。
「あいつ…また!」
 友基が反対側にいる涼の所に行こうとすると強い力で腕を掴まれた。
「…いいんだ、友基」
 望が懇願するように見つめる。
「だって、あいつ!」
「いいんだ。僕は大丈夫だからさ」
 平気だと言って微笑む。
「…何が大丈夫なんだよ。いつもそうやって我慢して………なんで、泣かないんだよ!」
 友基の方が辛そうに顔を歪める。
「友基…」
「なあ、もうやめよう。あいつじゃなくたって、いい男なんて沢山いるじゃんか」
 友基の言葉は痛いほどに分かっていた。
 望自身、考えたことがないわけではない。
 だけど………。
「ダメなんだよ」
「何がダメなんだ」
「僕、こんなに辛いのに、涼のこと、嫌いになれないんだ。…離れられないいんだよ」


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