小説(現代) 5 家まで全速で走った。 傘は途中で意味をなさなくなり、全身雨で濡れてびしょびしょだ。 「おかえり………って、なんで傘持ってんのにずぶ濡れなんだよ!?」 祐介が慌ててバスタオルを持ってきて俺に被せる。 「たっく、何やってんだよ、お前は」 悪態をつきながら、祐介が俺の髪を拭く。 「…ごめん」 「ほら、先に風呂入って温まって来い。着替え、用意しとくから」 祐介は無理やり俺を風呂場に押し込める。 「ありがと、祐介」 俺は感謝を口にする。 「ばーか。風邪引かれたら困るだろ。しっかり温まれよ」 祐介は俺にくぎを刺してからそこを離れた。 祐介の優しさが嬉しかった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |