02-12
放課後になり、果歩は部活の準備があるからと先に行ってしまった。
誰もいなくなった教室で悠は運動場の近くにあるテニスコートを見下ろしていた。
そこでは楽しそうに談笑する部員やコートで練習する部員など、個々のペースで部活が行われている。
その中に果歩の姿はなく、見えない所で何かしているのだろうかと悠は思った。
誰もが楽しそうにしていて、見ていた悠もいつの間にか笑顔になる。
それに自分で気付いて気恥ずかしくなってしまう。
「南浦?」
名前を呼ばれて振り返ると部活中のはずの黒羽がいた。
手には悠のクラスでも出た数学のプリントがあった。
「忘れ物?」
「あぁ。サエに言われて気付いてさ。明日当たりそうだから助かった」
黒羽は少年のように笑った。
それにつられて悠も笑う。
悠の前の席に座ると黒羽は視線があった方向を見た。
「うわ、丸見え。変なこと出来ねーじゃん」
「変なことって何さ」
クスクスと笑う悠を見て黒羽は安心した。
昼休みの強引な誘いを気にしていないか、気にしていたのだ。
「部活行かなくていいの?」
「まぁ、少し休憩」
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