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02-11
悠はまともに黒羽の顔を見ることが出来ずに、自然と前に座っている亮か隣に居る果歩に視線を送っていた。
会話は必然的に今朝の揉め事のこととなり、悠は困ったような顔で話を聞いていた。


「本当にもう大丈夫。」
「そうだといいけど。まったく誰のせいなんだか」


亮はそう言いながら視線を黒羽に送った。
それを気付かないふりをしていたが、周りがそれを許すわけもなく質問の的は悠から黒羽へと変わった。
次々に問いただされる黒羽を可哀想に思いながらも、子供のようにじゃれつく彼らを見て悠はこういう仲間がいることの幸せを感じた。
そして同時に自分だけがその輪の中の外にいることも。


「悠?」
「いいね、こういう仲間って」


悠の言葉に果歩は少し悩み、そして思わぬ言葉を発した。


「悠も一員になればいいんじゃない?」


その言葉に悠はもちろん、二人の会話を聞いていた周りも驚いた。
予想外の反応に果歩自身も驚き、次の言葉を失っていた。


「それ、いいかも!」
「剣太郎!?」


周りを静止して葵は続ける。
夏の大会を控えて練習はきつくなり、今までなら自分たちがしていたこともマネージャーである果歩に頼むことが多くなっている。
ただでさえ一人で大人数の部員のために働いている果歩にはオーバーワーク気味な部分があるので、そのフォローのために悠に居てもらえればというのが葵の提案だった。


「え、無理です!テニスなんてルールも知らないし…」
「そんな難しいことはさせないから、ぜひお願い!!」


悠は無理だと思う反面、やってみたいという気持ちもあった。
それは彼らや果歩と一緒にいたいという不純な動機で、そんな気持ちで手伝っていいことではないとも思っていた。
断り続ける悠に無理強いを出来ない果歩は仕方なく、今日の部活を見てから決めることを約束した。

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あきゅろす。
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