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1、side会長





「は?あのクソホストがクビに?そんなわけないだろ」


意気揚々と生徒会室を出た俺は、ものの五分もしないうちに一馬に捕まった。
人気のない理科室に俺を引きずりこんだ一馬は、不機嫌そうな顔で俺を睨み付ける。


「だが、昨日から姿が見えないって‥‥」

「ただの出張だ。理事長室でたっぷり絞られて減給されたけど、それだけだってよ。チッ」

「減給?‥チッ?」

「気にすんなよ。あいつ金なら腐るほど持ってんだからさ。教師なんて半分道楽みたいなもんだからな」

一馬はそう言うと、俺の首に腕を回した。

「あいつのことはどうでもいいじゃん。なあ隆之」

「ちょっ、一馬?こんなところでなに考えてるんだっ」

「今更だろ?」

「ここは学校だ!」


いくら放課後は利用者が来ない理科室でも、もしかしたら誰かに見られる可能性がないわけではない。

「大丈夫だ。鍵は閉めた」

「‥‥」


お前いつの間に。

「いいだろ?な?」


一馬はそう言うと、俺が止めるよりも早く俺の首筋にかぶりついた。

「いっ」

皮膚にはしった痛みに俺が思わず声をあげると、一馬が俺をなだめるようにそこを舐めあげた。
最近のこいつは、やたらと俺の身体にあとを付けたがる。
さっきのだって、歯形がついているはずだ。

まったく。
また安岐に見つかったらどうするつもりだ。
このあたいだ、無言でカットバンを差し出されて、俺がどんなに気まずい思いをしたと思ってるんだ。

「一馬っ‥ん」

しかし、文句を言おうとした俺の口には一馬の指が差し込まれた。
鎖骨に押し当てられた唇がゆっくりと首筋を滑り、耳の下で止まる。
温かい吐息で首や耳をなぶられて、俺の腰から力が抜ける。

一馬は俺を近くの机に仰向けに押し倒して、俺の顔の横に手をついた。

「隆之」

耳元で囁かれる俺の名前に背筋が震えた。

「か、ずま」

欲情を孕んだ目が真っ直ぐに俺を見つめる。
その力強い視線に腹の下が疼く。

「う、んあっ」

再び目の前に差し出された指に思わず口を開けた俺を見て、一馬がにやりと笑った。

なんでもこいつの思い通りになるのは悔しくて、俺は見せつけるようにその指に舌を這わせた。


「くそっ」

「一馬っ」


一馬は忌々しげに俺を睨むと、荒々しく俺のベルトを外した。
ほんのりと赤くなった目元がかわいらしくて、俺はくすくすと笑った。


「笑うなよ」

「だってかわいいんだから、仕方ないだろうが」


一馬はかわいい。

余裕のない表情に、俺の身体も熱くなる。
ぞくりと肌が泡立つような感覚。
求められているという幸福感が全身を駆け巡る。

「あっ」

そんな自己満足に浸っていると、いつの間にかズボンの中に入り込んでいた手に尻を撫でられた。


「かわいいのは、お前のほうだろ。ちょっとケツ揉んだだけでこんなにして」

「あ、‥だって」

「今でこれなら、指入れたらどうなるんだよ」

俺の膨らんだ股間を見ながら一馬が意地悪そうな顔で笑った。

「入れて‥。一馬の指が欲しい」

「指だけでいいのかよ?」

「‥‥意地悪」


一馬は本当に性格が悪い。
自分だってもういっぱいいっぱいなくせに。
焦れた俺は一馬の股間に手を伸ばそうとするが、俺の手が届くよりも先に、一馬の指が突然尻に突き立てられる。

「っつ」

俺の唾液で湿っただけの指を入れられて、俺は眉をひそめた。

「悪い悪い」

一馬は少しも反省した様式もなくそう言うと、片手で器用に俺のズボンと下着を脱がした。


「いてーんだよ!馬鹿っ」

「安心しろ。すぐに気持ちよくなるって」

「ひっあ」

俺の上着のポケットから小さなローションのボトルを取り出した一馬が俺の尻にその中身を垂らした。

「あ、‥んぁっ」

そしてそのローションを塗り込めるようにして指を動かす。

「ほらな」


なにがほらな、だ。
と言いたいところだが、新たに二本に増えた指に後肛を弄られると、口からは甘い吐息が溢れる。

声を出さないようにブレザーの袖口を噛むと、一馬はにやにやと笑いながらまた指を増やした。

三本の指をばらばらに動かされると頭がぼんやりとしてくる。
自然と揺れる腰を見て、一馬はますます楽しそうに笑った。

なんかすっげえ悔しい。

だが、尻の内側の一番気持ちいいところを突かれると、どうにもならなかった。


「んぅ、あっ」

「淫乱」

身体を痙攣させて達した俺の耳元で一馬がそう囁いた。

「一馬ぁ。ほし‥い」

「‥‥」

「今度は、指じゃ‥なくて‥‥」


上目使いで一馬の顔を見上げながら、悔しさ半分、本当に我慢できないの半分でそう言うと、一馬がペロリと自分の唇を舐めた。

俺は一馬の太股に添えた手をゆっくりと動かした。


「一馬のこれで逝かせてくれ」

俺がそう言うと、一馬は赤く染まった顔を俺の首筋に押し付けた。

「ちくしょう」

「あっ、一馬ぁ」

乱暴にコンドームの袋を口で破る一馬をうっとりと眺める。

「ああっ、ん‥く」

「隆之っ」

指を引き抜かれた後肛に一馬のそれを入れられる。
ゆっくりと身体が押し開かれる感覚に中を締め付けると、一馬が吐息を漏らした。


「ちょっ、まだ‥ああっ!」

そのまま、早急に腰を動かされてたまらず悲鳴があがる。

「あ、うぁ‥ひっ」


机に乗った俺の背中が突き上げられる度に冷たい机に擦れる。
腹につくまで足を曲げられているため、腹が苦しい。

しかし、その苦しさの何倍もの快感が俺を支配する。
俺の目尻に溜まった涙を一馬が舐めた。

その赤い舌がひどく卑猥で、薄く開いた唇から目が離せられない。


ああ、キスしたい。

呑み込まれそうな快楽の中、漠然とそう思った。
しかし、一馬はそんな俺を見て、なぜか寂しそうに笑った。
そして、俺の鎖骨に唇を押し付けた。






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あきゅろす。
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