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7、side会長



次の日、へろへろになって教室に向かった俺が、あくびをしながら教室のドアを開けると、クラスメイトの視線が一斉に俺にむけられた。


なんだよ。俺の顔になんかついてんのか?

「会長ぉ。お、おはよう」

なぜか真っ赤になった田部がぎくしゃくしながら俺に挨拶してきた。

こいつ昨日のことまだ気にしてんのか?
器の小さい男だな。


「昨日は悪かった」

「え?なんのこと?」


しょうがなく、謝ってやった俺の顔を見て田部がきょとんと首を傾げる。
なんだ。違うのか。

「いたっ。なんで殴るの!?」

謝って損した。紛らわしいことすんじゃねえよ。

「じゃあ、なんでそんな挙動不審なんだよ?俺の顔になんかついてんのか?」

「‥ついてるというか、色気が半端ないというか」

「あ?」

「な、なんでもないよぉ」


相変わらず変なやつだ。
よく見れば、星野と安岐が無言でクラスメイトにプレッシャーをかけている。

何してるんだあいつら。


最近こいつらと生徒会続けていって本当に大丈夫かと心配になる。
いつもってわけじゃないが、たまに、いやかなりの割合でこいつらおかしくなるよな。

「そ、そんなことより!俺、今日の朝購買に寄ってくる時間なくてさ。一緒にお昼食べに行こうよ」

今日の昼は一馬と‥‥いや、無理だよな。
ちらりと一馬の席を見るが、そこにはまだ一馬の姿はなかった。
いつも朝練に行く中沢に付き合って、早めに朝食を食べて教室に来ているのに珍しい。

ずきんと痛む胸を誤魔化すように視線を田部に戻す。


「ああ」

「やったあ!他の二人も一緒だからねっ」

俺の両手を握った田部が勢いよくその手を振り回す。
お前はガキか。
大袈裟な田部の様子に思わず笑みがこぼれたそのときだった。

ガラリと音をたてて教室のドアが開いた。


「邪魔だ。どけ」

ドアのすぐ前にいる俺たちを睨み付けて、不機嫌そうにそう言った一馬の声に教室が静まりかえった。

「お前が後から入ればいいだけだろうが」

一馬をにらみ返しながら俺がそう言うと、一馬は舌打ちをして乱暴にドアを閉めた。


「ちょっと、どうしちゃったの?喧嘩でもしたの?」


心配そうにそう訪ねる田部を無視して俺は自分の席についた。

俺の斜め前の席の風紀委員の副委員長が、俺と後ろのドアから入ってきた一馬を見比べて、慌てて一馬の方によっていった。

あのクソヤロー。
なにもあんな態度とらなくてもいいじゃねぇか。
そんなに俺が嫌いかよ。

一馬の馬鹿。
それならそうともっと早く言えよ。



昨日、五十嵐の胸で出しきったはずの涙がまた込み上げてくる。
それをこらえるために、俺はぐっと拳を握りしめて唇を噛んだ。

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