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暗中模索
したいけれどできない
何をすればいいのか分からないから
そうやってまた、振り出しに戻る

良くできる子はいつも言う
「簡単だよ」
じゃあ僕は簡単な事もできない 出来損ない?
そう言うとね お母さんはいつも言う
泣きながら まるで呪文のように
「大丈夫、大丈夫」
また、泣かせちゃった
やっぱり僕は 親不孝

何もできないから
それを全部親のせいにして
また、暗がりを歩くの

やさぐれて、籠もって ついには暴力まで振るう
こんな事したくなかった
皆が写った写真立てを見て 
罪悪感に打ちのめされる
だって、皆笑ってるんだ
もう見れないのかな?
泣きじゃくりながら、宝物を見るの
昔の思い出を

何もできないからを建て前に
本当はしたくないの
皆厭きれちゃったと思うし
笑われたくないの
「今更か」って

ある日ふと思う
僕は何をやっているの?
お母さんの怯える顔 
それはまさしく自分に向けてで
真っ赤になった手を見て
こんな顔させたくなかった

もう日課になっていた
流れない涙を無理やり流して
アルバムをめくる
ずっと続くと思ってた
この幸せは過去じゃなくて現在進行形って
もう、昔の事だけど
自覚なんて前からしてた
皆から笑顔を奪ったのは
自分だって

したかったんだ
ずっと前から計画してた 8年間の大プロジェクト
古びたノートを取り出して
数ページしかないページをめくる
ふと目に止まる言葉
ああ、簡単な事だった

階段を駆け下りる音
残った机に無造作に置いてある
「ごめんなさい」の文字


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あきゅろす。
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