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狩沢さん日簿 *ギャグ*
池袋の町並みのとある一角。そこでは、今どきの男女二人組が熱い討論を繰り広げていた。
「だーかーらー!ゆまっち!!杏里ちゃんはこのフリフリ甘萌えメイド服だってー!」
「違うっすよ!フリ甘なんて杏里ちゃんに失礼っす!杏里ちゃんには、この胸あけ黒ミニゴスロリ(ガータータイプ)がお似合いなんっすよー!!」
意味不明な言葉を発している二人組の間には、話している意味が分からずおどおどとしている少女の姿が。
「・・・あっ、あの」
遠まきに見ている人達の視線に、二人は気ずいているのかいないのか。他人など見えていないとでもいう様に二人は自分達の世界に入っている。堂々と恥ずかしい事を言っている二人に少女は、恥ずかしさを感じていた。
「あの、ここは人が見ているので・・・その・・他の所に行きませんか?」
いままで自分達の世界に入っていた二人は、少女の声にハッとしたのかいきなりさっきよりも会話をはずまして少女の声について語り始めた。
「!!ねぇ!聞いたゆまっち!?」
「もちろんっ!すごいっすねー、まさに片方を持つ者は両方を持つもんすねー。いやー、感心感心」
「だよねー!この声○○ちゃんに似てなーい?もうっ、三次元にある二次元サイコー!!」
「同じくー!」
もう会話じゃなくてマシンガン同士のしゃべり合いだ。少女は自分の言った言葉を無視されたあげく分からない用語を使われもう泣きそうになっていた。こういう事になったのもすべて2時間前の事が原因だった。
          
                  −2時間前ー
「園原さーん!正臣ー!」
少女を呼んだのは、よく聞きなれた声。竜ヶ峰帝人だ。正臣というのは竜ヶ峰帝人と幼馴染であり、そして少女と友好関係(友達と言うには気がひけるので)にある人物だ。この三人は学園内ではちょっとした有名人だ。なぜなら帝人と正臣は互いに少女の事を好いていて、それを分かりながら行動を共にしているので、微妙な三角関係ができあがっているのだ。それを他の友人達がおもしろがって主に賭けの対象にしているだけの事(今は紀田が有力)だが、三角関係なんてとても見られない物だからか、結構有名になっている。しかし、両方から好意を示されている当の本人は、むしろこの関係が心地いいと感じていた。自分は人を愛せないからと。体内に罪歌を宿す少女は思う。
私は化け物だからと。だから少女はこの関係がいいと思うのだ。
「ごめんねー、またせちゃって」
「おい、帝人!まったく俺と杏里ちゃんとのスウィートタイムを邪魔しやがって、お前はルシワァーか!?マーラか!?」
「・・・√3点」
「またかっ!今回のも小学生にはまだ難しいのか!!」
このどうでもいい会話が好き。正臣君の寒いギャグがすき。帝人君の鋭いツッコミが好き。少女はこの非日常を愛していた。ずっと、ずっと・・。しかし帝人の次の言葉で、少女の中の非日常は音を立てて崩れ去る。
「やっほー!みかぷー!」
「その娘に言いましたかー?」 
「げっ!狩沢さん、遊馬崎さん」
校門の前で待ち伏せていたのは、ごく普通な男女の二人組だった。妙にハイテンションな二人は帝人達の方に向かって意味不明な事を言い放った。
「「今日一日杏里ちゃんを貸してくれるんだよねー!」」
一瞬意味が分からなかった。いきなり出てきて自分を貸せと言ってくるのだから分からなくて当然だ。少女は自分の隣で体を震わせる帝人に聞いてみる事にした。
「あの、帝人くn「それは断ったはずでしょう!?」・・・」
「えー、じゃあみかぷーが私達といくー?」
「・・・・・・・」
いきなり無言になる帝人。少女は更に意味が分からなくなる。それを無視して二人の会話はどんどん弾んでいく。
「よしっ!じゃあブルー色の西洋風ロリペチパンツ付きドレスを用意しよう!」
「今流行りの男の娘って奴っすかー!」
「イザイザに報告なう!」
「んじゃあ俺は門田さんにもー!」
「うわー!!!!!」
間一髪。帝人は狩沢達から携帯を取り上げた。そのスピードは、ギネス級だったという。久しぶりの帝人の必死な顔は、少女を微笑ませる位に面白かったようだ。
「・・フフッ」
時が一瞬止まったように静かになる。少女が笑った理由が自分だと知り帝人は、恥ずかしさで一杯になった。
「////」
まさに帝人の今の顔は赤い林檎のように真っ赤だったという。周辺の空気が甘酸っぱい恋の色に染められようとしていた時にとってもKYな二人が口を挟んでた。
「きゃほー!杏里ちゃんのすてきスマイル激写ー!!!」
「少女漫画みたいっすわー!○○○ちゃんのエチケットビームの時の表情に似てるっすー!!」
「・・・・死んでください」
いままですごく顔が赤かった帝人は、一瞬にして虫でも見るかのような冷徹なソレへと変わった。恋の邪魔をされるというのは、人を一気に違う物に召喚してしまうほどの威力を持っていると、正臣はその身で感じた。しかし、KY二人組はそれに物怖じもせず、むしろ歓喜の表情をしていた。
「やばすっ!みかぷーやばすっ!私のご主人様きたー!!!!」
「トリプルSで魔王級っすね!こりゃMは一目ぼれですよー、今ここに最強キャラ誕生っす!」
「表側は純粋JK・・しかし!!裏側は百人の犬共を従える極悪非道の超S女王様だったのだ!!」
「勝手な前ぶりしないでください」
「きゃほーい!!」
「・・・・・・・」
だんだん帝人が可哀想になってきた。そこで救いの手が差し伸べられた。
「・・あの、私行きます。話は分からないけど丁度これから空いてますし」
その声の主は、話の筋元園原杏里、その人だった。今か今かとその言葉を待っていた二人は、迷うことなくそれにくっついてきた。
「よしっ!よく言った!杏里ちゃん!」
「今すぐいくっすよ!」
「えっ!えっ!?」
引っ張られながら帝人の視界から消えていった少女を見送りながら、帝人は思う。
(さようなら・・)

                 ー2時間後ー
少女は二人の間に隠れながら思う。
(ああ・・来なければよかった)
今更ながら少女は思った。本当に・・。かれこれ少女は2時間この争いに巻き込まれている。側にいたはずの人達もいまでは10mも離れた所にいる。この距離が安全と言った所か。少女はとても悲しくなってきた。
「ああ・・・」
ただ、ため息しか出ない。このままだとあと3時間は軽く争っていそうだ。少女はさっきよりも大きいため息をついた。が、そのため息は途中で切れた。
「おいっ!!!」
ものすごい大声が耳の中を駆け巡る。何事かと後ろを振り返るとそこには、・・・紺のニット帽をかぶった門田京平が立っていた。
「まったくてめーらは、人様に迷惑をかけて・・・おい!帰るぞ」
「えー、俺達まだ杏里ちゃんになにも着せてないっすよー!」
「そうよ、そうよー!」
「いいから来い!」
「「うーっす」」
これで終わった・・・少女は安堵の息を吐いた。しかし、1秒後、少女から『安堵』と言う文字が無くなる。
「あっ!杏里ちゃん、また明日ー!」
「はい、またあs・・へ?」
少女には明日も地獄が待っているのだろう。


おまけ

「・・・・俺、出番なくね?」
正臣君でてねー!!今度はちゃんと出したいです。





初めて書いたSSです。
やっぱり文才が無いのが見て取れます・・・。
あの時はデュラララにハマってたんですね。残ってたのでアップしました。


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