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卒業記念〜徳茄子姫*白雪姫〜
昔昔あるところに恵みの豊かな国がありました。しかしその国にも難点はあります。確かにその国は豊作でしたが、けっして裕福という訳ではありません。国民がどんなに稼いでも全部城に献上しなければいけないからです。しかしお城も綺麗な訳でもありません。そうです。国が稼いだお金は全て姫の物になってしまうからです。その姫の名は、徳茄子姫といいました。茄子のように丸っぽく長いために、そう名付けられました。徳茄子姫は、それはそれは可愛がられて生きてきました。しかし、それが何処で間違ったのでしょう?徳茄子姫はどんどんガンダムにはまっていき、ついには国の金に手をつけてまでガンプラを買うほどになっていたのです。
 ある時義母はジャパネット高田の大特化サービスで買った魔法の鏡で未来を予言してみました。
「鏡よ鏡、この国の行く末はどうなる?」
「つっ・・・・ただ今電話回線が混んでおりますので、しばらくしてからまたお掛けください。ぷっ、つーつー・・・・」
「さっき絶対口で言ったよね!?しかもこれ鏡だし、うちの家電話ないしね!?時代設定解ってる?」
「ただいまお掛けになった電話番号はもう使われておりません。」
「そのギャグ通すなよ!もう、やんなよ?」
「はあ、マジだりーわ、ババアの相手するの・・」
「いきなり口調変わってるし!統一しろよ、鏡ぃ!!!!」
「クレーム多すぎますー。モンスターペアレントですかぁ?今どき古ー」
「じゃあ、てめーにクレームを付けたいわ。っていうか、早く質問に答えろよポンコツ」
「ポッ・・・・分かりましたぁ、えーと貴方のシワの数はズバリッ3・・「しゃらけぇ!!」チッ」
「いきなり言うなよ!びっくりするじゃん!っていうか我はこの国の行く末をなあ・・」
「この国の金が全部無くなり、ついにこの国は終わります」
「えっ・・・・・?」
「原因はドナルd「徳茄子姫だよね!?」・・・へい」
「はあ、ついにこの国も終わりかぁ、後残りありすぎー」
「でもですね妃様、一つだけ助かる方法があります」
「・・・?」
「徳茄子姫をこの国から追放するのです」
「ああ、その手があったか・・」
 そんな話が繰り広げられているとは露知らず、徳茄子姫は一人で庭園の中をぶらぶらしていました。しかし運良く?妃の部屋を通りすぎるとき、大声で叫ぶ義母の声を聞いた徳茄子姫は、自分がこの国に居られなくなる事を知ります。そこで徳茄子姫は決心します。よし、家出しよう、と。追い出されるなら自ら出て行ってやると思い、徳茄子姫は森へと逃げ込みました。徳茄子姫が逃げてしばらく経って、妃は徳茄子姫が逃げたのを知りました。
「くそう、いっつも引きこもってるのに、こういう時だけは逃げ足が速いのだから・・・・おい、そこの狩人。徳茄子姫を連れて来い。少々痛めつけても構わぬ」
指名された狩人は少し怯えながら、はいと頷きました。
 一方、森に逃げ込んだ徳茄子姫は、どこに向かう訳もなく、ただ歩いていました。しかし、行動が早い狩人の声を聞きつけました。声はどんどん近づきます。やがて姿が見えるかというところで、徳茄子姫は自慢の体操の成果なのか、軽々と木を登りました。狩人が通りすぎた後、徳茄子姫は思います。
「腰痛てえ」
40代の体には少々応えるようです。痛い腰を気遣いながら降りた後、徳茄子姫は気づきました。カレーの匂いがする、と。徳茄子姫はその匂いにつられて歩きだしました。しばらくすると、小さな家が見えました。
「なんだこの家、ちっさ!!」
素直な感想を吐いたあと、徳茄子姫は家の中に入ってみました。不法侵入です。そのまま徳茄子姫は家の中にあったカレーをたいらげ、ぐーと眠ってしまいました。数時間後、小人達は自分達の仕事を終え、家に戻ってきました。しかしどうでしょう。家は、出かける前に作っておいたカレーは全て無くなっており、他の物も荒れ放題でした。ただ一つ言える事は、親父臭い事です。その臭いの元はどうやらベットルームにいるようです。小人達は恐る恐る覗き込んでみました。するとそこには、腹をポリポリと掻きながら眠っている徳茄子姫がいました。小人達は恐怖のあまり、腰を抜かしてしまいます。その音で気がついたのか、いつのまにか徳茄子姫は起き上がっていました。そして小人達を興味津々に見つめています。しかし小人達は徳茄子姫に食べられるとでも思ったのでしょう。一目散に逃げ出しました。小人達にも足の速さは関係あります。一番後ろにいる小人を、徳茄子姫は逃しません。40代の体をフルに使い、一番後ろにいた小人を捕まえました。そして大声で皆に届くように言い放ちました。
「おい、お前達の仲間を捕まえたぞ!!大人しくこっちに来い!」
いわゆる人質という物です。小人達はピタッと止まり、一箇所に集まって話し合いをし始めました。こ
そこそ話しているというより、口喧嘩です。ある者は、見捨てろというし、またある者は助けようとい
ったり、なかなか決まりません。しかし、ようやく決まったのでしょうか、徳茄子姫のところに近寄ってきました。どうやら徳茄子姫の言う事に従うようです。不敵な笑みを浮かべた徳茄子姫は小人達を連れて家に帰りました。よくよく小人達を見てみると全部で25人いました。そこで徳茄子姫は小人達には酷な報告をしました。
「じゃあ俺、しばらくここに住むから」
「えええええええぇ!!!!!!!」
小人達は心底嫌な顔をしましたが、ヤダとは言えずこくりと頷く事しかできませんでした。
 徳茄子姫が消えてから数日が経ったある日、また妃は鏡に徳茄子姫の行方を調べさせていました。
「鏡よ鏡、徳茄子姫は今どこにいる?」
「追い出した人が何を心配しているんですかぁ?」
「いや保険に調べている」
「つまんねっ・・・えっとですねぇ「さっき小声でなんか言わなかったか・・」僕分かんない☆」
「うん、虫唾が走る。でっ、ていう」
「徳茄子姫ならぁ、小人の家を占領して一緒に住んでますね」
「はぁ、小人の敷地はまだこの国の領地にある。困ったもんだ・・・」
「じゃあ、妃様がいけばいいと思いますよぉ。例えば・・・そう、毒林檎を持っていくとか・・」
「我は殺したいわけではない」
「睡眠薬林檎ちゃんとかどうですかー?眠らせている間に隣の国に移動させればいいんですよー」
「うーん、良い案だが、誰が作るんだ?」
「そんなめんどくさがり屋な妃様にプレゼントーですよ!ダダダダッダダーン☆睡眠薬林檎ぉー☆(ド
 ラ○もん口調)」
「鏡から林檎が出てくるのなんてタブーだぞ!!」
「いいから、いいからぁ、貰ってくださいなぁ」
「・・・・・ふんっ、貰ってやる事もない」
「おっ、今ふっと殺意が芽生えました。ババーのくせにツンデレなんてオールマイナス100点じゃないですかー」
「−100って低っ!!しかも悪口しか言ってないしね、酷いよね、このSK」
「えっ、SKって『凄く綺麗です』って意味ですか!?きゃー!ババーに告白されたぁ」
「うん、『性悪鏡』って意味だけどNK」
「なっナルシストって・・・・」
「そこは分かったんだ!!凄いな!・・・・・っていうか、林檎貰っていくな」
「はぁーい」
 妃がそんな恐ろしいことを企てている時に徳茄子姫は、小人達を従えて林檎狩りを楽しんでいました。
「ああ、こんなにいっぱい林檎があったらいろいろ作れるなぁ」
「何を作るのですか?」
「ええと、ジャムとかアップルパイとか、カレーに入れるのもいいな!」
「全部食べ物ですね、あっ、もしカレーは飲み物だって言うようになっても、私達目を瞑る自信があり
 ます!」
「変な配慮をどうもありがとう。ていうかずっと思ってたんだけど俺達の他に誰か居るような気がするんだが・・」
「「「そうですかー?」」」
そうです。行動は早い方が得。妃は魔女の格好をして、木の上に登って身を潜めていたのです。
(感だけはいいな・・・・)
徳茄子姫が妃に気づくのも時間の問題。そこで妃はある事を思いつきました。小人の持ってるカゴに酔眠薬林檎を忍び込ませるのです。
(やべぇ、今日の我頭冴えてるwwwww)
妃はすぐさま実行する事にしました。しかし妃は木の上。小さい小人のカゴに入れるのには、少々無理がありました。でも妃はがんばります。一生懸命に。しかし、木の上と言う事を忘れて前のめりに動いてしまったせいか、ズリッと徳茄子姫の前に落ちてしまったのです。ガサボキドスンッと酷い音を鳴らして落ちてきた妃に驚かない人はいないことでしょう。徳茄子姫も、もちろんその一人でした。徳茄子姫は一瞬驚いたような表情をして、すぐに呆れたような顔をしました。
「お義母様、ここで何やってんの?」
「・・・・・・木登り」
「嘘だと言いたいです」
「「妃様何やっちゃってんの?」」
「煩い小さき人、我が何をやっても貴様等には関係ない」
「「一国の妃様がこんな所で木登りなんてしてるなんて聞いたことないよ」」
「煩い!!!」
あまりの言われ様にさすがの妃も恥ずかしくなってきました。もう頬は真っ赤です。それを見ていた徳茄子姫は腹を抱えて笑い出してしまいました。
「ははははっ!!!!」
「徳茄子姫!笑うでない!!!」
「はははははははっグハッ!!」(吐血)
「吐血するまで!?めっちゃ酷っ!!!!」
・・・・・・カシャッ・・・・・・・・・。
「?」
いきなりのシャッター音に妃は思わず音が聞こえた方を向きました。するとそこには・・・・カメラを片手に自嘲気味に笑う小人達がいました。サングラスを掛けながらドヤ顔をする小人達は、そっちの業の人に見えた程です。いきなりの出来事に妃はうろたえました。
「おっおい・・・さっき何を撮った?」
「何って・・・・・・妃様の阿呆ポーズに決まっていますよ」
「やっと・・・これで弱みが握れたっ(ぐっ)」
その声は小人達からではなく、徳茄子姫の方から聞こえます。徳茄子姫の方を向くと、涙を流しながらガッツポーズをしていました。
「はっ?何で徳茄子姫が?」
「もう一度城に戻る為です」
「「徳茄子姫はずっと城に戻ろうとしてたよ」」
追い出したっていうのもたった数日の事なんだけどな・・と言う言葉を妃は寸でのところで止めました。
「いや別にくんなっつうんでしたらいいんですけど、別に小人の家で住むし」
「「こっちは徳茄子姫が来てもいいよぉ」」
「ほお、良く手なずけたものだな、徳茄子姫」
感心感心と頷く妃を見て、小人達は互いを見て合図代わりに頷きました。そして小人の一人が妃の方に寄って小声で何かを呟きました。妃にしか聞こえないように。
「       」
その言葉を聞いた妃は小人達の方を見ました。小人達は笑っていました。妃はくすっと笑い徳茄子姫の方を向いて応えました。
「徳茄子姫、城に戻ってこい!」
「えっ?本当に?いいんですか?」
「我は嘘をつかない!・・・・たぶん」
「格好良く決めたんですか?それで」
「煩い!!」
「「良かったねー!」」
「あっそうだ、小人達、お前等も城に来るか?」
「「もちろんっ!!!」」
「息ぴったりー。すごいすごい」
パチパチと興味なさそうに手をたたく徳茄子姫を見て、小人達は妃の方を向いて言いました。
「「やっぱりさっきのは無しで」」
「えっ?さっきって『徳茄子姫は優しい人です』っていうあれ?」
「「さあ?」」
 こうして徳茄子姫はお城で、皆と仲良く過ごしましたとさ。


「ガンプラの買いすぎはすんなよ」
「えーーーーーー」



この白雪姫は作者の卒業記念にクラス全員で紙芝居を作った時のボツ作です。徳茄子姫のモデルは担任です!ファイルに残ってたのでアップします!

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あきゅろす。
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