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雪、溶ける。
銀髪少女、来る!?



「拙者は、バジルと言います!早く、この箱を持って逃げてく────────」
「そうはさせねぇぞぉおお!!!」


バジルと言うらしいその子に向かって────そして一緒にいた俺にも向かって─────ロン毛が放った一撃が飛んでくる。
そして───────────




ドカアァァンッ




「ぅわっ!!」
「んなっ!!?」


その攻撃を避けるすべも知らず、俺たちは直撃を食らった。
その攻撃で、バジル、とか言う子は気を失ってしまった。


「ちょっ、ちょっと君!!」
「ヴォオオオォォォイ、お前!」
「っ!!」
「そうだ貴様だ!!こいつとどう言う関係だ、あぁ!?ゲロッちまわねぇと、三枚におろすぞぉお!!!」


近くで聞く奴の叫び声は、本当にド迫力だった。
振りまかれる殺気が、肌に痛い。




ていうか、え?三枚におろす…?




それって、魚を切るときの言葉じゃなかったっけか……?
人間も、『三枚』に切れるのかな……………。

と、その場に似つかわしくもない事が頭に浮かぶ。

いやいや、ゲロッちまうって俺吐くつもり無いし。
ていうかそもそもなんなのこのロン毛!!?

とか何とか考えてるうちに、目の前に迫って来たロン毛の剣。
この距離じゃ、普通に剣を受けても、さっき山本がやられた火薬が来ても、イチコロ、死、確定である。
あぁ、さようなら母さん。せめて京子ちゃんともう少し話したかった─────────


「待て!!」
「!!!??」


─────────その場の全員が、動きを止めた。

響き渡った凛とした声に、俺は少なからず聞き覚えが会った気がした。
そして、その声のした方に振り向く。


「ディ、ディーノさん!!」
「相変わらずだな、スペルビ・スクアーロ」
「跳ね馬……!!」


ディーノさんはどうやらこのロン毛の事を少なからず知っているようで、奴をひどく睨みつけていた。


「その趣味の悪い遊びをやめぇねぇってんなら、俺が、相手になってやる」


そう言ってムチを取り出し、部下を引き連れていたディーノさんは、最高にカッコ良かった。



・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・




そして時は経ち、大騒動とその後。
ディーノさんを見てロン毛は戦う気が失せたのか、諦めた様に見えた。
がしかし、次の瞬間俺の頭を掴み上げてディーノさんの気をそらし、さっきバジルと言うらしい子からもらった漆黒の箱を奪われてしまった。
ロン毛はそのままその場をあとにし、俺たちは重傷人である山本、獄寺君とバジル君を病院に運んだ。
病室で手当を終えたバジル君が寝ている所に、ディーノさんが来た。
そして、奪われたと思っていた『漆黒の箱』が──────────


「ここにあるんだ」


──────────てへっ、とでも効果音のつきそうなディーノさんの笑顔とともに、彼のてに握られていたのは、まぎれも無くさっき俺が奪われた筈の『箱』。
リボーンに聞いた限りだと、この中に入っている物は、マフィアさん達に取っては物凄いお宝らしい。
そして、ボンゴレの秘宝でもあると言う。

気が引けてしまった俺はそのまま、病室を飛び出した…──────────────……




今、俺は病院からの帰り道を、一人とぼとぼと歩いていた。
ふと頭を、さっきディーノさんがリボーンに向けて言っていた言葉が巡る。


「あいつ、まだ自分の立場から逃れられると思ってんのか?」


これは、自分が病室を出た後にディーノさんが発した言葉を、たまたま廊下に出てすぐだったので聞こえただけだ。
あいつ、とはきっと、自分の事だろう。
そして、『自分の立場』とは、きっと……───────────…

      ────────…マフィアボンゴレの、十代目候補としての立場……───────…

「はぁ……」、と本日もう何度目なのか見当もつかないため息を体から逃がす。
そしてそのまま、『沢田』と書かれた標識が固定された壁の近くにある我が家の門をくぐる。

───────と、同時に、マンモスに突進されたぐらいの衝撃を受けた。

いや、マンモスの突進の衝撃なんて無知な俺には到底理解出来ないけど、とにかく、大きな衝撃だ。
なぜなら……………………

縁側にある庭全面の、服、服、服。
しかも、作業服ばっかりだ、色とりどりの。

これって……………




まさか………




よれよれの作業服。




まさかっ……




玄関に入る。
土だらけのヘルメット、ブーツにスコップ。




まさか…!!




ダイニングに入る為に、廊下を素早く曲がる。


「ガァァァ、ガァァァ…」※←寝息。


うむ、予想が悲しいほどに的中してしまった。
いつもはスポーツも勉強もダメダメな俺だけど、今回ばかりは「予想」というボールのド真ん中にバットを振りかざし、サヨナラホームランを決めた様な気分だ。
誰かに称号を付けてもらいたいぐらいだが、今はそんな話じゃない、そんな話じゃなかった。


「父さん……」


襲いかかってくる猛烈な呆れに、俺は思わず震える声でその男を呼ぶ。
はたから見れば感動の再会に喜んで涙声になる息子だが、違う、それは決定的に違う。
この状況を見てくれば分かるだろう。
この男、だらしない……!!!!

すると、机の横に、人がもう一人いる事に気付いた。
銀色に、少し深い緑を織り交ぜた様な、不思議な髪色。
エメラルドのように輝く瞳。
多分俺と同じぐらいか、一二個の年下の、女の子だった。

容姿は日本人離れしている。
だけど、なんだろう……………。
なんだか、懐かしい様な気がする。


「……!」
「ぇ?」


その女の子は、ゆっくりと俺の方に振り向き、目を見開いた。
そして、見る見るうちに顔を輝かせて行く。

さっきまで何の表情も浮かべていなかった(いや少し微笑んでいたかも知れない、)彼女の顔に笑顔が広がる。
そして……───────────


「兄さん!!」
「はぇ!!?」


─────────────いきなり、抱きついて来た。







(だ、誰…!!?)
(家光の奴………こいつを連れて来て、どう言うつもりだ…?)
(やっと、会えた………)


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