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陽炎の眼差し。+番外編/リクエストs+
腐くま 様リクエスト シンナ+カノ(シュウカ)生理ネタ。



「うっはぁ……」


 ソファに座りながら目の前の低い机に置いてある黒い炭酸飲料を喉に通し、声をこぼす。
 うん、今日も最高な味だ。

 キド達が所属しているメカメカ団とやらに無理矢理入団された(?)私は、ヒキニートの生活水、つまり炭酸飲料をたくさん買ってもらった。炭酸が無いと生きて行けないんだもん。

 今、キド達はトウヤと一緒に改めて携帯を見に行っている。前回行った時は例のテロ事件が発生したからね。
 キド、マオ、セト、トウヤ。この四人がお出かけ中。
 ちなみに、エネオスもトウヤの携帯に遊びに行っていていない。
 カノは……知らない。でも居ない、と思う。
 それに、キョウとか言う女の子とコノハは爆睡中。実質的にはいないのと同じ。
 と言う事は……。


「いいわぁ、一人って…」


 そう、久しぶりの一人なのである。
 外に出たのも久しぶり以上なほどだったが、一人なのも随分長い間無かった様な気がする。
 前に遊園地に行った時は一人になったと思った瞬間にマオが出て来たからな。

 それにしても、いい…!

 長い間体感していなかった為か、孤独な状態がいつも以上に天国の様に思えた。
 これなら何してても文句言われないし、五月蝿い奴らもいないし…!


「ふふ〜ん♪」


 私はご機嫌で飲み終わってしまった炭酸飲料を台所のゴミ箱に投げ入れ、冷蔵庫から同じ物をもう一本取り出そうとした。

 その時だった。


「…ッ?!」


 突然、下腹部に激痛が走った。

 私はその痛みに耐えきれなくなり、開きっぱなしの冷蔵庫の扉も、取ろうとした瞬間に走った激痛により落としてしまった炭酸もそのままにその場にうずくまった。
 焼ける様な痛みは一向に消えそうな気配を見せない。

 痛い……。


 痛い…ッ。




 痛い……!!


「ぅっ…」


 堪えきれなくてうめきが漏れた。
 冷や汗がダラダラと止めどなく溢れ出て来る。

 マズい、今は誰もいないんだ。
 キョウやコノハはいるけど寝てるし。
 どうにも出来ない。

 それよりこの痛みは何だ。
 今まで体験した事が無い、意味が分からない。
 変な物は食べていない、今朝の朝ご飯はキドが腕によりをかけて作ってくれたし、昼食もちゃんと朝から余った物を暖めて食べた。

 食中毒? でも、痛みの位置が下過ぎる。
 便秘…?! ……いやいやそんな馬鹿な。

 色々な可能性を考えている間にも、痛みは徐々に増して行く。


「ッ!! ぃったぁ……」


 少しだけでも痛みを和らげようと息を止めたのが悪かった。
 酸素を求めた肺が脳に緊急要請を送り、私の口は半強制的に開かれた。
 そして繰り返した荒い息の所為で、余計に痛みが増す。

 どうして、何?! なんなの、これは…!!

 私の脳内は、疑問であふれ帰っていた。


「ぅん? あっれ〜、シンナちゃん、こんなとこで何してるの〜?」
「ぅぇ…? ッ…」


 突如聞こえた別人の声に、思わず間抜けな声が漏れた。そしてまた腹部にズキリとした感覚が走る。
 この声、それに嫌に間延びした口調。
 これは……。


「カ、ノ…?」
「うんうん僕だよ〜! んで、どうしたのさ? 何か苦しそうだけど?」


 自分の上に黒い影が降りて来たので、うずくまった状態から上を見上げると、案の定すぐそこにはカノの顔があった。いつも通り、苛つくほどにニコニコだ。……人が苦しそうにしてるのになんでまだそんな表情なの。
 だけど、この際どうする事も出来ない。
 今の私は物凄い激痛に襲われている。自力では立てないほどに、だ。
 キョウとコノハは爆睡中。
 なら、助けを求められるとするならば……。


「カ、ノ…」
「ん〜? 何なに〜?」
「おなか、痛ぃ……」


 カノしかいない訳だ。

 話すたびに小さな衝撃が下腹部に伝わって、焼ける様な痛みが一瞬にして脳に伝達された。その所為で、語尾に近づくにつれ声がかすれて小さくなって行ってしまう。
 そんな私を見て、カノは顔に笑顔を貼付けたまま言葉を続けた。


「ふぅ〜ん……どこら編?」
「ここ……」


 カノの質問に答えるべく、一番痛むおへその真下辺りに手を添えた。それだけの動作でも、お腹の痛みはジンジンと増す。
 私が指した位置を確認して、カノは少しだけ考え込んだ……ようだった。
 だって、ずっと笑顔だから良く分かんないんだよ。

 少しすると、カノは「あ、そっか」と呟きながら手のひらの上に拳をポンッ、と乗せた。どうやら何か思い当たる節があったらしい。


「シンナちゃん、月経っていつ頃にあるの?」
「げ、けい…?」


 なんだそれは。

 月桂樹の兄弟種か何かか? と一瞬思う。
 いつ……。
 …いつかは分からないけど地中海地方にある筈だったと思う。

 でも、月桂樹が今この状況で何の役に立つんだ。花や葉を使った万能薬でも作ろうって言うのか? ……月桂樹にそんな効能あったっけ。


「…え、シンナちゃん月経しらないの?」
「知らな、い……」
「……あぁ、そう言う系ね〜…」


 私が即答したらカノは少し驚いた様子だったが、すぐに何か納得したらしい。
 何、どう言う事だよ。そう言う系って何系だよ。

 脳内で文句と疑問をぶつけていると、カノが突如私の腕を掴んで、自分の首に回した。
 突然の出来事に、私の脳は一瞬機能停止する。


「よっこらせと…」
「…!! ちょっ、カノ?! な、どう言うつもり…!」
「何って、お風呂場に連れて行くんだよ?」
「おふっ…?!」


 何故か風呂場に連れて行くと言い出すカノ。
 どうして風呂場? なぜに風呂場?
 疑問があったとしても抵抗しようとしても、下腹部の痛みが引かないからにはそれも無理。
 どうしようもないので、私はされるがままカノに風呂場に連れて行かれた。



・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・




「…今度からアイスとか冷たい物は出来るだけ避ける事、それに過激な運動は出来るだけ控えてね?」
「……はい」


 その後。
 私は風呂場でカノに月経の意味と対処法を教えてもらった。
 成る程、人間のめすにはそんな機能があるのか……。
 何しろ二年間もニートをしているので、どうしても色々な知識が欠落しているのだ。

 そして説明を受けた後、何故か。
 何故かカノも一緒にお風呂に入った。
 少し抵抗はあったが、カノに「まぁまぁ! 初めてなんだから、色々知っておきたいでしょ?」ともっともなことを言われたし、それに女同士だから別に良いだろう、と何とか納得して一緒に入った。

 ……ここだけの話、カノ、隠れ巨乳だった。
 パーカーを着ているからか、服の上からはそこまで目立っていなかった。
 だけど、一緒にお風呂に入って分かった。
 この子、凄い……!
 私なんてニート生活の所為(?)で中学生にも負けるほどに残念な胸なのに!

 ……こほん、暗い話はここまでにしよう。
 とにかく、カノに受けた説明によると今回のお腹の激痛は冷たい炭酸飲料を飲み過ぎたかららしい。
 今度から、一ヶ月に一度来るらしいこれの時は出来るだけそう言う物を控えるべきだと教わった。せめて、冷蔵庫に入れていない常温なやつを飲んでおけ、と。

 うん、大変なんだね女の人って。
 どうやら、私のこれは随分と遅い時期に来たらしい。通常なら小学校高学年から中学校低学年までには来る物だそうだ。
 これももしかしたら、ニート生活の所為かもしれない。
 おのれ、ニート生活め…!!

 ……まぁ、実際やってた私が悪いんだろうけどさ。

 それと、この事はトウヤ達男には言わない方が良いと言われた。何故なのかは……良く分からない。
 ただ、これがある一週間の間はこまめにお手洗いに行って清潔を保てと言われた。
 ……良く分からないけど、カノは相当な経験者だ。信用しても良いだろう。……駄目だったらコノハやセト、もしかしたらだけどキョウにも聞いてみよう。


「よし、じゃあ今日はキドに赤飯頼まないとね!」
「え、どうして」
「だって、生理来たってことはシンナちゃんも大人の階段を登ったって事だよ、めでたいよ〜!」
「あ、え、ぁ、そう…」


 ……女って、色々大変だ。







(それにしても、キド理由もなしに赤飯なんて作ってくれるの)
(だーいじょうぶだよ、キドだもん)
(((ただいまー)))
(あ、キドー! 今日赤飯お願ーい)
(ん? あぁ、分かった)
(本当にだいじょぶだったー!!)







∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞





 無駄に長くなりましたぁ!!
 腐くま さん見てますかー!
 やっとだ管理人の奴がリクエスト消化しやがりましたよー!
 むむ〜、ダブルにならなかったが大丈夫ですか? 良かったらレビューにコメントとかください、嬉しくて死にます、きっと!←
 それに、結局時間軸無視してすんません!
 待たせるだけ待たせて結局自分が言った事を守らないと言うね! ばかやろう!!
 いやね、インターネットで調べたら高校生になっても月経来ない人はいるらしいんですよ、少ないけど。
 なので、なんかニートってそんな感じっぽいなぁ、と思ってシンナもそう言う事にしました。
 カノを巨乳にしたのは何となくです。 シンナが貧乳なのは個人的なイメージです!←
 いや、何かそこんところで嫉妬してるシンナも良いかなと。
 ちなみに管理人は貧乳の方が邪魔にならなくて、いいと思います。ていうか自分がそうなんだよ!(いらない情報。
 カノの一人称が無難に『私』ではなく『僕』なのもイメージです。
 いや、カノって欺くが能力じゃないですか。
 なので、たまに男に化ける時とかも便利だから僕にしたとかそんな感じに。
 ついでになんか、最初にシンナに遭う時は欺いてて男で、あとから女に戻ってシンナが「はぁあああ?! おとっ、女おとっ、おんっ…?!!」って超混乱してたら面白そうですね、そうしちゃいましょうか!←
 ↑でシンナが「女男」って言いそうになってるのは気の所為ですきっと!←
 ……ぷっ、夏目……ぷぷっ…。←

 何か管理人後書きがやけに長くなって来たのでここら辺で終わりますね。
 腐くまさん、リクエスト本当にありがとうございました! とても、本当にとても楽しめました。
 これからもドシドシ送って来ちゃってください! 消化するのはいつになるか分かりませんが。←
 本当にありがとうございました!

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