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夢か幻か

『…あ。もぅこんな時間かぁ…雫は今日どうやってかえるの?』



時計は、午後四時になろうとしていた。



いろいろあった学園での1日が終わろうとしている。



『僕は迎えが来るはずなんだけど…』



終わった頃に迎えに来ると言っていた十六夜の言葉を思い出した。



『迎え!?』



『うん。今日執事さんに送ってもらってさ、帰りも終わった頃にくるって…』



『…すっげぇセレブだなぁ…
もしかして…雫の今の名字の一ノ宮って…あの一ノ宮?』



『多分、その一ノ宮だよ。椎成先生にも言われたなぁ…』



どうやら、この学園では、一ノ宮って名前はかなり有名らしい。



なんか、ちょっと複雑だな。やっぱり…



『そっか…雫もいろいろ大変だな…だから、生徒会も…かな?』



『…どうだろうね?』



そこは、学長が自分の近くに玩具を置いておきたいからだと思う…



とは、言えるわけない。



『とりあえず、雫はいきなり有名人コースだな。』



う〜ん…



本当はあんまり目立ちたくないんだけどね。



『なんか、そんな感じみたいだね。』



『でも、あの一ノ宮の家系ならいろいろ安心だな。』



『ぅん。』



そんな会話をしながら、僕達は帰り支度を終わらせた。



『じゃ、下まで一緒に行くか!』



『そうだね』



教室に残る僅かなクラスメイトに挨拶をして、僕達は教室を後にした。



夕陽がさりげなく差し込む廊下を歩く。



『今日はいろいろありがとう。信ちゃんがこの学園にいてくれてよかった。』



『どういたしまして。俺も雫に再会出来て嬉しかったよ。また仲良くやろうな?』



『うん。よろしくね?』



そういった僕達は、お互いに少し照れながら
笑った。



二人で笑いながら廊下を歩く。



なんかこういう些細な時間が、僕にとっては大切だったんだと思う。



普通の学生らしく…



友人と共に…



もし、あの時二人が離れなければあんな事にはならなかったのかな?



今更ながら、そんな事を頭の隅で何回も何回も考えていた。

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