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夢か幻か

『……なんでなんだ?』



『………』



僕は何も言えないでいた。


『……何か企んでるのか……?』



『………』



別に企んでなんかいない。



単なる取り引きだ。



でも、神谷恵になんて言っていいのかわからない。



『……何も言うことはないと言うことか……?』



『………』



『……絶対に仁時は渡さないからな………』



『……えっ…』



納得した。神谷恵は学長に好意を抱いている…



イコール・今学長に抱かれた僕は敵・ということだ。



でも、考え方によっては、神谷恵と学長がそういう関係になれば、



僕は少なくとも求められる回数は減るって事じゃないか?



雑用として使われているだけなら、全く問題無いわけだし……



僕はそう思い神谷恵に尋ねてみた。



『……もしかして…神谷君は学長の事………』



『…………だとしたらなんだ?』



めちゃくちゃ敵意丸出しな神谷恵。



『……いや、そうなら悪い事したなと……』 



『……別に誤って貰う必要性は無い。』



『………ごめん……』



今神谷恵に何を言っても無駄だろうな…



完全に僕を敵視し、拒絶されてる気がした。



『……………』



再び沈黙の時間が訪れた。


『………』



その時、急にドアが開いた。



『………あ、仁時いなぃ〜?』



ノックもせずに入って来た男は、部屋を見渡しそういった。



『………学長は、今理事とお話し中です。
学長室に入るときはノックするのがマナーだと何回言えば………』



『まぁまぁ、あんま怖い顔すんなよ〜。』



『……まったく……』



『そんなに怒るとかっこいい顔が台無しだぜ?』



『……余計なお世話だ。』



彼が来てくれたおかげで、少し救われた僕は、二人のやりとりをただ見ていた。 



『………で、この可愛こちゃんは誰なん?』



『……自己紹介くらいしたらどうだ?』



『……あ、僕、一ノ宮雫です。よろしくお願いします。』



神谷恵に言われて僕はあわてて自己紹介をした。



『へ〜雫っちゅー名前が更に可愛いやん♪彼氏おんの〜?』



『……い、いませんよ!』



『じゃ、俺チャンスあり?』



『えっ!?』



『自分めちゃくちゃ俺好み〜〜!』



うぇぇ〜!?



彼の第一印象は間違いなく、『チャラい男』だった。



『俺、志乃井 蓮♪よろしくな!しーちゃん♪』



『……よ、よろしくです。』



僕は、差し出された手を軽く握り握手した。



『……転入初日から、モテモテだな、一ノ宮……』



神谷恵が嫌味全開で、僕に言った。



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あきゅろす。
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