[携帯モード] [URL送信]

夢か幻か

『失礼します。』



神谷恵だった。



『学長、理事がお見えになってます。』



『あ、やべ。忘れてたわ…恵、雫はこれから雑用係君だから、ちょっといろいろ教えといて?
俺理事んトコいってくるわ。』



『……了解いたしました。』



学長は部屋を後にした。



『……………』



やっぱり神谷恵と二人は苦手だなぁ…



またもや無言の時間が訪れた。



『…………』



『あのっ…僕なんかすることあります…?』



耐えきれなくなって、僕は神谷恵に話し掛けた。



『…………。』



神谷恵は無言だった。



またもや重たい空気が流れた。



学長室の時計の秒針の音がただただ鳴っていた。



神谷恵はずっと入り口の近くに立ったままだ。



重たい沈黙を打ち消したのは、神谷恵の一言だった。



『………お前…学長と何話してた…?』



『………えっ?……えっと……』



僕は戸惑っていた。



僕は神谷恵がいつの事を聞いているのかわからなくて、ちょっと返答に困っていた。



『……今?』



『………そうだ。』



『……普通に、学園はどう?みたいな会話をして、仕事手伝ってって感じの話しだったけど……』



『……それだけか…?』



『そうですょ?』



『………』



……なんかやけにつっかかってくる……



さすがに神谷恵には、学長に弱みを突き付けられ、抱かれた事は言えない……



確かに、今日来たばかりの転入生が、雑用係とはいえ、生徒会職務をするなんて普通じゃありえない。



何かあったと考えるのが普通だろう。



しかも、学長と付き合いが長い神谷恵なら、尚更そう思うだろう。



……でも……



学長がいない今、なんて言っていいのかわからない。



むしろ、僕が何でか聞きたいくらいだ。



僕がなにも言わないのに、痺れを切らしたのか、神谷恵は口を開いた。



『……お前今仁時とシてただろ……』



『……っ!?』



僕は顔が一気に赤くなった。



ま…さか………見られてた……??



『えっ…な、何言って……』



『………あんなけ喘いでたら、嫌でも聞こえる……』



『………』



最悪だ。まさか神谷恵に聞かれていたとは……



『…………』



僕はただ呆然としていた。





[*前へ][次へ#]

6/9ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!