夢か幻か
1
『……失礼します…』
僕は、戸惑いながらも学長室のドアをノックした。
『どうぞ…』
中から声がして、僕は重たいドアを開けた。
『うちの学園はどぅ?たのしんでる?』
『………おかげ様で…』
学長はソファーに座っていた。
脚を組み背もたれに寄りかかりコーヒーを飲んでいた。
コーヒーを置くと、僕にも座る様に手を差した。
僕は、言われるままにソファーに腰掛けた。
『……親しい友人と再会したんだって?』
『あ、はぃ…』
『いつの友達なんだ?』
『……小さい頃ですよ。僕が育った街で逢いました。』
『じゃあ、あのことは知らないんだね?』
『……はい。』
『ふーん。じゃ、キミも彼には知られたくない……だろ?』
『……えぇ…』
だから俺に従えよ?
そぅいいたいんでしょ?
……一体この人は僕にナニを望むんだろう。
従えって事はやっぱ……身体なのかな……?
弱味を握って、僕を玩具にするのかな?アイツラみたいに……
『………』
僕は黙っていた。ナニを言われるかわからないし、不安がまた大きくなっていた。
『………そんな怖い顔しないでよ?』
そういうと、学長は僕の後ろに回り込み、僕を抱き締めた。
『…俺はキミの味方だって言っただろ?…』
『……!?』
学長はボソッと小さい声で言った。
『……やっぱりキミは俺を知らない?…』
『…………?』
全く知らないよ。
顔も名前も知らなかった。今日が初対面。
そして印象は最悪。
『……そっか……』
何故か学長が切なそうな顔をした様にみえた。
『……』
なんか気まずい雰囲気になっていた。
僕は、学長と何処かで逢ってるのかな?
でも、僕の記憶には全く学長の記憶がない。
僕を抱き締める力が弱まった。
解放されるかと思ったが、学長の唇が僕の耳に触れるか触れないかの距離で囁かれた。
『……とりあえず、俺に従うんだよな?』
僕はソノ言葉にゾッとした。
『……ぅん…っ……』
そのまま会長は僕の耳から首筋に舌を這わせた。
『…っっ…んっ……』
僕の気持ちとは裏腹に、身体は敏感に反応していた。
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