夢か幻か
6
楽しいランチタイムが終わり、僕と伸ちゃんは教室に戻った。
教室には人が少なかった。
『午後授業…どうする?雫。雫は今日は帰るの?』
『え、授業はないの…?』
『各学年、BEST30と委員会は午後授業は免除なんだよ。帰ってもいいし、何しててもいいんだよ。』
『え、でも僕転入したばかりだし、入ってないでしょ?』
『……お前…一応このクラスは特進クラスで、学年のトップ30しかいないクラスなんだけど?』
『え!?そうなんだ…知らなかったょ。』
『雫は編入試験も完璧だったんだろ?』
『あ、ぅん。まぐれだろうけどね。』
『まぐれでも、このクラスに来たって事は、この学園で、BEST30以内にはいるって事なんだよ。』
『僕、全然勉強とか好きじゃないし、ラッキーかも』
『でも、テストでAとBは入れ替わりはあるからな…気は抜けないってやつだよ。』
『なるほどね…』
この学園は、頭のいい人・委員会…つまりお金持ってる人にはかなり融通のきく学園のようだ。
十六夜が終わった頃に来るって言ってが、クラスもわからなかった時間だし、多分午後終わってからだろうと思っていた。
『多分、迎えが午後終わってからだと思うからさ、僕は残るよ。』
『そうか…じゃ俺も付き合うかなっ!』
『あ、でも、用事あるなら無理しなくてもいいよ?』
『水臭いこと言うなよ!親友との再会だろ?』
そういうと、伸ちゃんは僕の頭をくしゃくしゃとなでた。
『…あ、ありがとう…』
なんか僕は、照れてしまって、ちょっと照れくさそうに笑った。
『……うん……やっぱ雫は可愛いな……』
伸ちゃんも、ちょっと照れくさそうに笑いながらそういった。
『じゃあさ、時間たくさんあるし、屋上にでも行って話さない?』
『屋上!?いいね!……やっぱ屋上もゴージャスだよね?』
『それは見てからのお楽しみだよ!』
『むぅ…じや、楽しみにしとくね…』
『じゃ行こうぜ!!』
そういうと伸ちゃんは立ち上がって僕の手を引いた。
伸ちゃんの手は昔と変わらず温かくて、気持ち良かった。
伸ちゃんがドアを開けると、神谷恵がそこにいた。
『……学長がお呼びだ。』
そう言われた僕は、忘れかけていた朝のやりとりを思い出していた。
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