夢か幻か
3
『お前男じゃないだろ〜女だろ〜』
『すぐ泣く女男〜』
ケラケラ笑う子供達にいじめられてる幼いときの僕。
幼い頃、体も小さく女の子みたいな容姿で、泣き虫だった僕。
なによりも幼稚園が大嫌いだった。
幼稚園には、僕をいじめる奴がいる。
この日もいつものようにいじめられていた。
『おいっ!やめろよ!』
でも、この日はいつもと違った。
見たことのない男の子が、僕の前に立ち、僕を守ってくれた。
『みんなでコイツをいじめてるお前らのが女男だっ』
『………』
僕にとってこの日の伸ちゃんは、救世主だった。
僕には誰よりもカッコいいヒーローだった。
この日を境に、僕はいじめられなくなった。
『またいじめる奴がいたら、俺に言えよ?俺が雫を守るからなっ!』
無邪気に笑う伸ちゃん。
……そして僕は、伸ちゃんに憧れにも似た恋をしたのだっだ。
その後僕が引っ越す迄、伸ちゃんとはずっと一緒だった。
それ以来の再会が、まさかこの学園であるとは…
『なんだ?なんだ〜?二人は知り合いなのか〜?………ん〜じゃあ、斎藤!お前神谷の前の開いてるトコに今日は座れ〜』
そう言われた斎藤君は、席を空けてくれた。
『じゃ、一ノ宮は笠間の隣に座れな?』
『あ、はいっ!』
僕は凄い懐かしい気持ちで、胸がいっぱいで、さっきの学長の事も忘れていた。
『なんか変な感じだなっ』
僕が席に着くと、伸ちゃんが話し掛けてきた。
『だねっ。なんか変な感じがするね?』
二人は目を合わせて、照れ臭そうに笑い合った。
『まぁ、懐かしいのはわかるが、休み時間まで我慢しろよ〜笠間〜。じゃ授業始めるぞ〜』
そういうと、椎成先生は授業を始めた。
僕は、懐かしさや嬉しさでいっぱいで、この学園での初めての授業は、全く身に入らない授業になってしまった。
授業が終わり、休み時間になると、僕の周りにはいろんな生徒が集まってきた。
『一ノ宮〜よろしくな。』
『笠間とはいつ知りあったんだよ〜』
皆口々にいろんな話をしてくれた。
自己紹介だったり、伸ちゃんとの知り合いのなりそめだったり、転入の理由だったり、退屈しない休み時間だった。
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