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夢か幻か

『お前男じゃないだろ〜女だろ〜』



『すぐ泣く女男〜』



ケラケラ笑う子供達にいじめられてる幼いときの僕。



幼い頃、体も小さく女の子みたいな容姿で、泣き虫だった僕。



なによりも幼稚園が大嫌いだった。



幼稚園には、僕をいじめる奴がいる。



この日もいつものようにいじめられていた。



『おいっ!やめろよ!』



でも、この日はいつもと違った。



見たことのない男の子が、僕の前に立ち、僕を守ってくれた。



『みんなでコイツをいじめてるお前らのが女男だっ』



『………』



僕にとってこの日の伸ちゃんは、救世主だった。



僕には誰よりもカッコいいヒーローだった。



この日を境に、僕はいじめられなくなった。



『またいじめる奴がいたら、俺に言えよ?俺が雫を守るからなっ!』



無邪気に笑う伸ちゃん。



……そして僕は、伸ちゃんに憧れにも似た恋をしたのだっだ。



その後僕が引っ越す迄、伸ちゃんとはずっと一緒だった。



それ以来の再会が、まさかこの学園であるとは…







『なんだ?なんだ〜?二人は知り合いなのか〜?………ん〜じゃあ、斎藤!お前神谷の前の開いてるトコに今日は座れ〜』



そう言われた斎藤君は、席を空けてくれた。



『じゃ、一ノ宮は笠間の隣に座れな?』



『あ、はいっ!』



僕は凄い懐かしい気持ちで、胸がいっぱいで、さっきの学長の事も忘れていた。



『なんか変な感じだなっ』



僕が席に着くと、伸ちゃんが話し掛けてきた。



『だねっ。なんか変な感じがするね?』



二人は目を合わせて、照れ臭そうに笑い合った。



『まぁ、懐かしいのはわかるが、休み時間まで我慢しろよ〜笠間〜。じゃ授業始めるぞ〜』



そういうと、椎成先生は授業を始めた。



僕は、懐かしさや嬉しさでいっぱいで、この学園での初めての授業は、全く身に入らない授業になってしまった。



授業が終わり、休み時間になると、僕の周りにはいろんな生徒が集まってきた。



『一ノ宮〜よろしくな。』



『笠間とはいつ知りあったんだよ〜』



皆口々にいろんな話をしてくれた。



自己紹介だったり、伸ちゃんとの知り合いのなりそめだったり、転入の理由だったり、退屈しない休み時間だった。

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