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夢か幻か

……



よしっ、行くか。



ため息と一緒に少しだがモヤモヤが小さくなったので、今のうちに先生に会いにいくことにした。



『失礼します。』



扉を開けると、ドアの横に会社の受付の様なスペースがあり、中は仕切りの様なもので見えなくなっていた。



本当に職員室?って思うくらい、僕が今まで見てきた職員室とは全く異なる部屋だった。



『ご用件をどうぞ。』



受付らしき机に座っている人が話かけてきた。



『あ、僕本日転入しました、一ノ宮雫です。学長さんに、椎成先生のトコに行くように言われたんですが…』



『椎成先生ですね?少々お待ちください。』



そういうと、受付の人は電話に手をかけた。



『……椎成先生、転入生の一ノ宮雫くんがいらしてます。』



『…………』



『かしこまりました。』



ネームプレートに西尾と書いてある受付の人が電話を切って、僕に言った。



『今、椎成先生がこちらに見えますので、こちらにおかけになってお待ちください。』



『あ、ありがとうございます。』



僕は西尾さんが示したソファーに腰を下ろした。



間もなく一人の男が、部屋の奥から姿を表した。



『一ノ宮君お待たせ。椎成です。』



『あ、一ノ宮雫です。今日からよろしくお願いします。』



僕は立ち上がって頭を下げた。



『これはこれは、また可愛い顔の転入生だね〜。噂によると成績も優秀らしいし、嬉しいね〜』



噂?…まさか、と思った僕はすぐに聞き返した。



『………え、噂ってどんな噂なんですか?』



『いやね、うちの学園て転入生がほとんどいないんだよ。で、偏差値も高いうちのテストを合格したヤツが来るって、生徒の中で噂になってんだよ。』



『いやぁ、誉めすぎですよ先生…』



『しかも、こんな可愛い顔の転入生とは…早速人気者コースだな…こりゃ…』



そういうと、椎成先生は僕の肩を叩きながら笑った。



僕は、とりあえず安心していた。



本当に学長しか知らないみたいだということが、今の僕には唯一の救いなのだから。



『じゃ、ちょうどホームルーム始まるし、教室に行こうか?』



僕の肩を抱きながら先生が言った。



椎成先生は、とても明るくきっと万人受けするだろう格好よさを持っていた。





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あきゅろす。
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