06 「あれ……ミスティ?」 ふと庭の一角に目を向けると、幼い少女の背中を発見した。 ウェーブのかかった茶色い髪を揺らし、慣れた様子で小さな門を飛び越し、建物の裏手の方へと歩いていく。 つい先程アクマによる襲撃を受けたばかりだから、と一人で出歩く事を禁じていた筈だが。 どういうつもりか知らないが、こういった時の命令(という程厳しいものではないが)には素直に従うべきだと、みっちり説教してやろう。 軽い足取りの彼女を、クライサは追う。 建物の裏手、蔦の絡んだ門をくぐり、開けた場所に着くと、そこにターゲットの姿があった。 だがクライサは彼女に声をかける事をしない──いや、出来ない。 ミスティは背後の存在に気付く事なく、ただ前だけを見ている。 「……これは…」 空色の双眸が、大きく見開かれた。 【H20/04/07】 [*前へ] |