過去御礼小説 ライラック 4000 それは春のこと。 良い香りに誘われるままに足を進めれば、咲き誇るライラックの木。 その下に佇む銀髪に、声を掛けた。 「死神に、なったんだね」 翡翠が静かに私を見据える。 「あぁ。俺にはこれしかないから」 いつも真っ直ぐな男の子。 いつも何かを抱える男の子。 その強い瞳に引き込まれる。 「私がいつも居るからね」 ゆるりと笑った幼なじみ。 「ありがとう。雛森」 少し前までとは違う呼び方。 「うん。……日番谷くん」 私の中の、あなたの位置が変わった瞬間。 ライラック (初恋の思い出) [*前へ][次へ#] |