過去御礼小説
藤 3500
「隊長?」
うずくまる、十の文字を不思議に思い、近付く。
煌めく銀髪の向こうに見えたのは、小さな黒猫。
愛おしむように優しく伸ばされた手は、もちろん振り払われるはずもなく。
気持ちよさ気に喉(のど)を鳴らす小猫に、目を細めるあなた。
いつもの大人びた表情でもなく、ぴんと張り詰めた気配を纏う姿でもなく。
自然なあなたの在(あ)り様(よう)に、笑顔が零れる。
手付かずの野山でこそ咲き広がる藤のように、あたしの胸に広がるあなたの存在。
こんなに一緒に居るんだもの。
あたしの唯一になることは自然なこと。
あたしの総てが、あなた色に染められていく。
その度にあたしは自分を好きになる。
だってあなたの色だから。
藤
(あなたに夢中)
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