過去御礼小説 タンポポ 2000 「なぁ、冬獅郎」 「何だ?」 呼べば、きちんと返事をしてくれる。 そんな何でもないことに幸せを感じるのは、相手が冬獅郎だからだろうか。 「俺の頭ってさ、タンポポっぽい?」 「ぶっ!」 吹き出す冬獅郎なんて、珍しい。 そんなに、おかしいかよ。 ちょっと、むすっとしながら冬獅郎を見る。 応えを促されてることに気付いたのか、何とか笑いを飲み込んでやがる。 「まぁ、そう言われると、ぽいな」 「やっぱ、そうなのか」 うなだれる俺に、一声。 「……良いんじゃねぇか」 「はぁ?」 「どんな場所でも、強く咲く。……お前に、ぴったりじゃねぇか」 そんな言葉に、軽い笑みを乗せられたら。 タンポポ (思わせぶり) [*前へ][次へ#] |