過去御礼小説 ポプラ 9500 「松本。お前、最近眠れてないのか?」 押し殺したあくびと、わずかな隈に気付かれたらしい。 「あはは。大丈夫ですよ〜。気にしないでください」 「……そうか。なら良いが……」 そんなこと言っちゃって。 全然、納得なんてしてないんだから。 どうせ今日は早く帰らせよう、とか思ってるんでしょ。 ほんと甘いったら。 「たーいちょ!あんまり人の心配ばっかしてると禿げちゃいますよ?」 「誰が禿げるだと……?別に心配もしてねぇよ」 不機嫌そうに応えた隊長は、書類に視線を落とす。 そうやって、いつも自分の心配はさせてくれないんだから。 まるで僅かな風にもそよぐ、ポプラの葉のよう。 周りに気を配って、周りを心配して。 どうしようもなく優しいから、いつか……。 「隊長!あたし、疲れたんでサボってきます!」 「あ、こら待て!」 今日もあたしは、不安を掻き消すようにいつも通りの日常を。 ポプラ (やさしい不安) [*前へ][次へ#] |