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リクエスト
散りばめられた伏線(萌さんへ)
「好きです」

やっと絞り出されたその台詞に、翡翠が細められた。



十番隊隊舎。

執務室への廊下を歩いていた冬獅郎は、ふと足を止める。

「何してんだ?雛森」

窓辺に頬杖をついた雛森が、視線だけを寄越す。

今は随分と高い位置にある翡翠が、怪訝そうに揺れた。

「中庭じゃ丸聞こえだよ」

主語のないそれを的確に理解した冬獅郎は、眉間に皺を寄せる。

「見てたのか」

「見えたの。今日は晴れてるから、どこも窓開いてるんだよ」

柔らかな風が、雛森の頬を撫でた。

「俺のせいじゃないだろ。何怒ってんだよ」

つん、とした表情を指摘すれば、雛森は尖った口調で呟く。

「何でもない。別に日番谷くんが女の子と付き合ったって……」

雛森ははっ、とした仕種を見せた。

冬獅郎は微かに口角を上げる。

「嫉妬、してんのか?」

雛森はかぁっ、と頬を染めた。

「ち、違うもん!私はお姉さんとして……」

そっと、肩に乗せられた掌に、雛森は言葉を飲み込む。

「お姉さんとして?」

覗き込む翡翠に、慌てて顔を俯ける雛森。

「そ、そうよ。お姉さんとして……」

身体が軽く引っ張られる感覚に、雛森は顔を上げようとした。

それは、後頭部に添えられた手に阻まれる。

今は背のぐんと伸びた冬獅郎の腕の中に、雛森はおさまった。

「断ったんだから問題ねぇだろ」

髪を揺らす息を意識した途端、雛森の胸が熱くなる。

「私には……関係ないもん」

半ば意地になっているであろう幼なじみに、冬獅郎は笑みを漏らした。

「いい加減、気付いたらどうだ?俺がお前をどう思ってんのかを」

ぎゅっ、と強く抱きしめられ、その身体は離れた。



散りばめられた伏線

(日番谷くんだって、全然気付いてくれないくせに)





大人冬獅郎+乙女雛森
でした。恋愛色が強めですが、大丈夫ですか?(°□°;)ちょっとガキくさくなってしまった二人ですが、受け取ってください!



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