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リクエスト
崇拝、時に脅威#1(十、十一番隊けんか)
乱菊は鼻唄を口ずさみながら歩いていた。
今日も上手く逃げ切れた、と達成感に満たされながら。

「何でご機嫌を取ろうかしら?……って、あれ?」

向こうの角に見えた死神の集団。
その中に見知った顔を見付けた気がしたのだ。
行ってみようかしら?
そう思ったとき、不意に感じた霊圧。

「げっ!隊長じゃない!」

明らかに不機嫌に揺れる霊圧。
ここまで冷気が漂ってきそうだ。
乱菊はさっきまでの考えを振り払うと、急いで足を踏み出した。

















「十番隊の奴らじゃねぇか。いつもご苦労さん」

馬鹿にしたような声音に、十番隊士たちは足を止める。

「まぁ、十番隊は書類整理しかできねぇ堅物の集まりだからな」

自分たちをここまで見下す連中は決まっている。
隣の隊の戦闘しか頭にない者たちだ。

「書類整理も大事な護廷の仕事。それができない貴様らに言われたくはないな」

心を波立たせてはいけない。
他隊と問題は起こすな、例え何を言われてもだ。
そう言った銀髪の隊首を思い出す。
何かされたときは俺に言え、俺が直接仕返しに行くからな。
悪戯っぽく口角を上げた冬獅郎は、時々見せる子供っぽさでそう言った。

「へっ!負け惜しみかよ。俺らには勝てねぇもんなぁ」

発言が癪(しゃく)に触ったのか、十一番隊士たちは挑発を試(こころ)みようとしている。
それに気付いた十番隊士たちは、もちろん乗ってやるはずもなく。
片や脳まで筋肉の十一番隊、片や頭の切れる隊長が統べる十番隊。
結果は目に見えたものだ。

気を心底悪くした十一番隊士たちは、捨て台詞を残して去ろうとした、はずだった。

「いつか後悔するだろうよ。あのチビに隊長なんかやらせたことをな」

下品な笑いを漏らす十一番隊士たちは、不意に足を止める。
今すり抜けたのは何だっただろう。
耳を掠めた熱風に振り向く。
背後で壁の崩れる音がした。

「え……?」

「隊長の侮辱とは舐めたものだな。死ぬ覚悟は出来ているか?」

柄にもなく、十一番隊士たちの身体が震えた。
さっきまでの、大人しく書類を抱えながら黙っていた十番隊士たちの姿はどこにもない。
目の前に立つは、怒りを浮かべて微笑む姿。
十一番隊士たちを震え上がらせるそれは、少し四番隊隊首に似ていた。

「あ、あの……」

思わず敬語になった十一番隊士たちに、一歩、また一歩と近付いて行く十番隊士たち。

助けてくれ、日番谷隊長……。
そう呟いたのは、十一番隊士たちだった。



崇拝、時に脅威

(松本め……取っ捕まえてやる!)



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