短篇
手っ取り早く(冬獅郎+乱菊)
「松本っ!!」
たたき付けられたそれに、乱菊は口を尖らせた。
「何で剥がしちゃったんですかぁ?」
「剥がすわ!それ以前に、勝手に俺の部屋に入るな!」
「良いじゃないですかぁ。隊長とあたしの仲でしょ」
「どんな仲だ!」
「言わせるんですか?」
わざとらしく照れる乱菊を、冬獅郎は怒鳴り付ける。
「言わんでいい!それより、これは何だ!」
再度叩かれたそれを、乱菊は庇うように取り上げた。
「あたしの顔、叩かないでくださいよぅ」
「ただのポスターだろうが!」
「ただのポスターじゃないですよ!あたしの等身大グラビアポスターです!」
「等身大だと!?道理でな……剥がすのに苦労したぜ」
「隊長、ちっちゃいですもんねー」
「黙れ」
冬獅郎は乱菊の頭をぺしん、と叩(はた)く。
「いだっ!」
「とにかく、これは持って帰れ」
「えー」
「えー、じゃねぇ。そもそも何で俺の部屋なんだ!」
「だって、部屋でも隊長に、あたしのこと考えてて欲しいんですもん」
冬獅郎はきょとん、とする。
「それなら尚更、これはいらねぇな」
手っ取り早く
(お前が、来ればいいだろ?)
(良いんですか!?)
(今さら言うか)
[*前へ][次へ#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!