時代劇ファンタジー 画竜点睛( 台本)=二章= 直ぐにパッとサスがつき、龍吟が居る。 龍吟「今までだったら、一人でのんびり旅をして…まぁしんどい時も妖怪どもが五月蠅い時もあったけど…それなりに自由で楽しかった…だが!今は何で…こんなに生活が窮屈なんだい!」 舞台に明かりが付くと、賑やかな江戸の町が広がっている。龍吟の手を引き、はしゃぐお咲(女の子) お咲「龍吟!早く早く!」 龍吟「あんまり」 お咲「うわぁ色んな物があってきれい!江戸の町って大きいのね!私、村から出たこと無かったから、こんな賑やかなところ初めて!」 龍吟「あーそうかいそうかい。そりゃよかった。良かったは良いが手を離さんでおくれよ(棒読み)」 お咲「はぁーい!(キョロキョロしながら)」 龍吟「(呟く)…はぁ。泣きはしないがやっぱりしょせんは子供だねぇ。こうして手を繋がないと飛んで消えちまいそうだよ。アタシが色々見れやしない…(お咲の方を見て)ほらお咲、江戸には遊びに来たんじゃないんだ。さっさと良い場所見つけるよ」 お咲「何をするの?」 龍吟「芸さ。アタシは旅芸人だからね。一定の場所で道行く人に芸を見せ、銭を貰うのさ。銭をかせがにゃ食っていけないだろう?着るモノや、宿賃も必要じゃあないか。只でさえ今はあんたが居るんだから、食費だって必要だ。」 お咲「龍吟は何も食べないの?」 龍吟「アタシは食べる必要なんてないんだよ。…お、ここがいいね。(茣蓙を引いて扇子や笛を取り出す。)」 お咲が笛を手に取る。 お咲「この楽器…」 龍吟「こらっ商売道具に触るんじゃない…(言葉を飲む)」 お咲が笛を引き始める。 龍吟「…お前さん、楽器が出来たのかぃ?」 お咲「この楽器は引けるの。村によく来ていた旅芸人に教えて貰った。…ねぇ私もお仕事、手伝えないかな。」 龍吟「…うーん…じゃ、アタシの舞に合わせて引くことは出来るかぃ?」 お咲「うん!やってみる!」 龍吟「じゃあ行くよ。…(バッと扇子を開く)さぁさ皆様、お立ち会い!今回お目にかけまするは、笛に合わせた演舞に御座います!」 暗転。 すぐに明かりが付く 龍吟「…ありえん。」 (じゃら、と銭袋を持つ) 龍吟「こりゃいったい、何年分稼いだんだい…?」 お咲「良かったね、龍吟!これで貴方もご飯が食べられるでしょ?」 龍吟「だからアタシは食べなくてもいいんだよ。食費はお前さんので十分。さて、宿を探すか…」 お咲「何で?お金がなかったから食べないんじゃないの?」 龍吟「違う。食べる必要がないからさ。」 お咲「お腹、すかないの?」 龍吟「すかないよ。」 お咲「何で?どうして?」 龍吟「何でって…何でもさ。自分でもよく分からないよ。」 お咲「…(寄り添う)」 龍吟「?どうしたんだい、いきなり。」 お咲「ううん。只、寂しそうだったから。」 龍吟「寂しい?あたしが?」 お咲「…それも、分からないの?」 龍吟「うーん、そうだねぇ…どんなことが寂しいっていうのか、教えて貰ったことがなかったからね。」 お咲「じゃあね、私が教えてあげる。寂しいっていうのはね、今龍吟がしてるような顔になる事よ(鏡を取り出し、見せる)」 龍吟「(まじまじと鏡を見る)へぇ…」 お咲「龍吟は大人なのに、知らないこともあるのね。」 龍吟「当たり前さ。何でも知ってる人なんて珍しいもんだ。人間は新しい発見をしながら生きる生き物だからね。」 お咲「そっか…じゃあもう一つ教えてあげる。龍吟はもう寂しいと思わないわ。」 龍吟「え、どうしてだい?」 お咲「これからは、私がずぅっと龍吟の側にいるから!」 BGM。音が高鳴る。暗転 [*前へ][次へ#] |