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時代劇ファンタジー
黒猫変化
二章〜化け猫会議〜

御上「…黒猫を逃がしたそうだな。」
「御安心下さい御上。所詮は多勢に無勢…我らから逃げ切れなど出来ませんよ。」
御上「黒猫の処分はお前達に任せたのだ。黒猫一匹の為に多数の猫を向かわせる来はない。お主等だけで何とかせい。」
「そ!そんな!!相手は天下無双と言われた黒猫ですよ!?我らだけの手では分が悪い…っぅ!ぅああ゛゛!(突然苦しみ始める)」
御上「…文句を言うな。まだ命惜しいならな。」
「承知いたしました御上。ですからこの者をお許し下され。」
御上「…ふん。」
「(何かに弾かれるように倒れる)げほっ!はぁ…はぁ…」
御上「死にたくなければ今すぐ黒猫を捕まえよ。…死にたくなければ…な。」
「「はっ!」」

三章〜逃亡生活開始〜

黒猫「だぁあああ!おぃ!」
宇助「何だよ〜」
黒猫「お前今鍋にそこらへんに生えてたキノコ入れやがったな!?どーすんだよ食えねぇじゃねぇか!」
宇助「大丈夫だよ食えるって!」
黒猫「その自信は何処から出てくるんだ!っていうか、いつまで絵描き道具持ってんだよ。邪魔になるだけだぞ。」
宇助「駄目だ!」
黒猫「何で。」
宇助「何でってそりゃ当たり前だろ?これは俺の宝だからさ!」
黒猫「宝?」
宇助「故郷から持ってきた物がこれだけだったからな。これだけ唯一故郷の事を思い出せる。」
黒猫「…辛かった思い出をわざわざ思い出すのか?」
宇助「別に辛い事を思い出すんじゃないさ。故郷の景色、町並み、自分の生まれた家…そういうのを思い出すんだ。」
黒猫「…。」
宇助「お前は?」
黒猫「え?」
宇助「お前の生まれた場所は何処なんだ?」
黒猫「俺の…生まれた場所…忘れちまったな、そんなもん。」
宇助「へ?」
黒猫「俺はこう見えても何百年と生きてんだ。そんな昔のこと、とうに忘れちまったね。」
宇助「そんな…さびしいじゃねぇか!そんなの!」
黒猫「寂しい?」
宇助「自分の生まれた場所を知らないなんて…自分の人生の始まりの地点を知らないって事だろ?」
黒猫「まぁ、なぁ…」
宇助「…よし、決めた!」
黒猫「は?何を?」
宇助「何をって…この旅の目的地だよ!お前の生まれた場所だ!」
黒猫「はぁぁ!?バカ言うんじゃねぇよ!」
宇助「俺は本気だぞ?」
黒猫「そーいう問題じゃねぇ!いいか?これはあくまで旅行じゃない。逃亡なんだ!」
宇助「旅行だろうと!逃亡だろうと!目的も無くさまようより、目的があった方が楽しいだろ?」
黒猫「いや…楽しいって…」
宇助「何事も楽しまねぇと人生損だぞ?あ、お前は人じゃねぇから猫生か。」
黒猫「…楽天的でいいな、お前は。」
宇助「そんなもんだぞ、人なんて。バカみたいに笑って、人生楽しく生きたいと思う。だけど実際そんな生き方出来ない奴の方が多いのさ。」
黒猫「…あぁ。」
宇助「だから死ぬ前に後悔する。あぁもっと楽しく生きればよかった。笑って生きれば良かった。」
黒猫「…。」
宇助「知ってるか?笑うって人間だけに与えられた感情なんだってよ。」
黒猫「でも俺は人間じゃ…」
宇助「今は!人間だろ?」
黒猫「…まぁ。」
宇助「だから、せめて人間で居る間くらいは笑って過ごせよ!な?」
黒猫「…」
宇助「(黒猫の頬をつねる)」
黒猫「あだだだだだ!」
宇助「な!?」
黒猫「…分かった…(ぎこちなく笑う)」
宇助「よし、いいこいいこ(撫でる)」

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