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ZS置場2
SSS 不自然な日常

とりあえずノートを購入しました!が、まだ設定が全然なので続けて更新できるか微妙かなぁ…
これは『記憶部屋』(Amnesia)にある物のZS版です。冒頭部分のみの一場面しかありません、ご注意。








ぽかりと急に目が開いて、清々しいくらいの突然の覚醒にぱちぱちと目を瞬かせる
暖かい夜具の中で 一晩の睡眠は十分に足りたらしい
そう思ってみればカーテンの隙間から射す日差しが随分と明るい
これは相当の時間を寝過ごしてしまったに違いない
朝日というよりも昼に近い日の高さは どうりで目覚めがすっきりしているはずだと小さく苦笑を生じさせた

これじゃ二度寝をする余地はねぇなと起きる覚悟を決め、今日は何か予定があったっけ・・・と思考を巡らせる。
目覚めた瞬間、寝坊した!という焦りを感じなかったのだから大丈夫だよなと思ったところで はたと気が付いた

どうしたことだろう、寝起きの頭のせいなのか、何も思い出せない

あれぇ? と首を傾げようとして違和感を覚えて眉を寄せる
枕が、なんだか弾力がありすぎるのだ

まず第一に柔らかくない。
自分の普段使っている枕はどういったものだったろう
(普通、枕といえばもっとふわふわで大きくて・・・)
そう。頭がフィットしていて気付かなかったが枕の形状にしては幅がない上に堅すぎる
(いやいやいや。俺はこういうのが好きなのかもしれねぇぞ。)
どこかで手に入れた特殊な形状の枕だとか、あるいは誰かに貰った土産の品だとか

一生懸命、自分のしている枕の理由を考察する
それが枕にしては不思議に温かいことだとか、髪の隙間から触れる枕が微妙にもぞもぞしている事だとか、
断じて認めたくなかった

(認めてしまったら、この状況をどう考えていいか分からんねぇ)
必死で枕について考えているのはある意味現実逃避だった
そうして逃避しつつも 今、自分の腕や足に触れるシーツの感触を探る
(・・・なんか。足やケツに直接シーツが当たるのは気のせいか)
では、自分は眠る時はパジャマを着ない派なのか
そんなわけない!と言い切れるだけの自信がない
あろうことか、自分は今日の予定だけでなく、昨日までの習慣も思い出せなくなっている

「おい。」

すぐ近くで誰かの声がしたような気がするけどそれは後回しだ
今は昨日の夜何があったかを思い出すのに忙しい

そもそも何で服を着てないんだ、しかもなんか、もしかしてもしかしちゃうと 今自分のしている枕には口があるかもしれない
「・・・おい」
なんて声を発しているという事は、十中八九枕には口があるのだろう
(や。枕に口がある事までは許す。・・・許すけど、胴体が付いていたり、況してやその体が裸だったりするのは絶対に許せねぇ)
・・・それともそんな不思議枕と同衾するに至った理由を考えた方がいいのか?
(えーと、その1.俺は睡眠時は裸派で、眠っていたところへ枕が間違って俺のベッドの中に入ってきた 
その2.俺はもともと裸族である。故に服を着ていないのは普通の事で――って、待て待て待て!んなの、納得いかねぇ!
しかも なんで不思議枕なんかと一緒のベッドに居るんだよ、全然説明になってねぇじゃん!)
「おい、起きろ。話を聞け」
「うるっさいな!今それどこじゃねーんだよ!俺何にも覚えてないんだから!」
声を発していた枕がゆさゆさと無視を決め込む自分を揺り起こすのが邪魔で、思わず怒鳴り返してしまった

ついでに、うっかり枕の方を見てしまったので それが不思議枕でもなんでもなくて自分と同じくらいの年頃の、
整った顔立ちの男である事を認めざるを得なくなってしまったのだが。

とっさの事なのに布団からはみ出た相手の肩やら腕が服を身に着けてない事まで一瞬で見定めていた
こんなの、2人揃ってひとつベッドで朝を迎えました、みたいな状況にしか見えねぇじゃないかと ますます顔を顰めたところへ
同じくベッドに寝そべっていた男の唇が にやりと弓なりに歪んで嫌な感じの笑顔を作った


「そら、奇遇だな。俺も何も覚えてねぇ」



男の発言は、それまでの現実逃避を一瞬で吹き飛ばした






 ある日 目覚めたら不自然な日常

こいつも俺も、昨夜なにがしかの理由で記憶を置き去りにした――らしい






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あきゅろす。
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