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SS置場5
VD
今更ながら2/14ネタ。そしてオチは無いです。いっそjunkにしようかと思ったのですが まぁいいかと「その他」区分でSS置場に。










どうしよう
今日、コレを渡してしまえば これまでの関係に終止符を打つ事になる
本日はバレンタインデー。 綺麗にラッピングされたチョコレートなんか渡してしまえば、それはイコール告白なのだ
いくら自分が男で、ペンギンの恋愛対象として視界に入っていなくても、コレを渡してしまえば嫌でも理解するだろう。

(恋愛の、対象として 見て欲しい)

でも、ペンギンがそれを、男から想いを寄せられている事を 気持ち悪いと感じたら。
――これまでのような親しい関係でいられなくなる

友人として一番近い位置にいた。
心を許して何でも話し合える、親友といってもいいほどの距離でキャスケットの隣に居る

それが災いして今まで告げる勇気が持てなかった
(だから、今日みたいな、世間がイベントに浮かれて後押ししてくれる日でもなきゃとても・・・)
意を決してチョコレートを用意したのに、がくがくと足を震わせて 先刻からキャスケットは柱の陰に佇んでいる。
面と向かって渡すのは自分にはとても無理だと ベタだけれどと下駄箱に忍ばせようとやってきて、
いざ目前に、というところでの突然の躊躇。
キャスケットがここに着いた時には、運良く 下駄箱の付近には誰の姿も無かった
入れるなら今!
そう思うのに、ばくばくする心臓が口から飛び出さないように胸を押さえるようにしてキャスケットはチョコレートの箱を
胸に抱えていた
(今しかないんだぞ)
何度も逡巡し、前へ進みかけた足が立ち止まる
そうやってどれほどの時間をそこで過ごしただろうか。
騒ぐ心臓の音の合間に、こちらへ向かってくる足音を聞き分けて キャスケットは はっと顔を上げた
"駄目だ、早くしなくちゃ見つかってしまう"
その思いがようやく金縛りにあったように凍り付いた足を溶かし、ふらりと体が前に進む
何人かがこちらに向かっているらしく、キャスケットは近付いてくる声に追い立てられるようにして下駄箱に駆け寄った
ぎゅっと目を閉じ意を決して靴箱に手にしたチョコを押し込んで、そのままバタバタと走り去る

(とうとう、やっちゃった!!)

今更ながら頬に集まる熱に顔を ぽっぽと火照らせながら校舎を出るキャスケットは、それでも前に踏み出す事が
出来たと肩の荷を下ろしながら 一目散に自宅へと駆け戻った








「おはよう。なんだ、赤い目をして。昨日眠れなかったのか?」
昨日以上に緊張しながら登校したキャスケットを迎えたのは いつもと変わりないペンギンの言葉だった

顔を合わせたら一体何と言われるかと眠れなかったのは本当で、落ち着かない心臓は昨夜一晩で一生分の脈拍を
打ったような気がする
そんな一夜を落ち着かない気分で過ごしたキャスケットは友人の言葉に「あ、・・・あぁ、うん。」と曖昧に肯くしかない。
(え・・・何? もしかして、"無かった事"にされた?)
へらりと力の抜けた笑顔を作って遣り過ごしたキャスケットは その内心では笑顔に反して愕然と肩を落としていた
スルー?! それって、それって――
( 『応えられない』 って事!?)
脳天から爪先までを冷たい衝撃が駆け抜けた
一瞬、視界が真っ暗になったような気がして かくりと膝から力が抜ける
実際 昨夜殆ど眠っていないキャスケットは血の気が引くと同時に貧血を起こしていたのだが、まともに回っていない頭は
思考がそこまで辿り着かない
ただ、キャスケットがその場で倒れずに済んだのは、へなへなと座り込んだのがたまたま自分の席だったからだ
(ふられ、ちまった・・・のか、俺)
言葉にした事で ズゥンとショックが肩にのし掛かる
がっくりと肩を落として溜息を吐こうとしたキャスケットの頭上で くすりと笑う声が聞こえて びくっと体が震えた。
のろのろと見上げた先には にやにやと笑って自分を見下ろすクラスメイトが居て、こんな時に相手をする余裕なんてと
目を逸らそうとしたキャスケットは 級友の歪んだ口元が発した言葉に身を凍らせた

「凹むこたねーよ。別におまえはふられちゃいねぇし」

どきっと跳ねた心臓が無理矢理絞られたように痛い
大きく目を見開いたキャスケットが ぱくぱくと声もなく口を動かすのを くすくすと目を細めて笑った相手の手が
素早くキャスケットに何かを握らせる

それは、昨日 自分が下駄箱に入れた箱だ
慌てて机に押し込んだキャスケットの肩をぐいと引いて、トラファルガーが耳元に口を寄せる

「慌てすぎだ。 昨日もそんなだったんだろ。・・・入れるべき下足箱を間違った」
あああああ、と頭を抱えて喚きたい気分で蒼白になったキャスケットの目前で、くい、と唇を引き上げたトラファルガーに
嫌な予感しか浮かばない
「俺が正しい場所に入れてやってもよかったんだが。 万が一間違ったとこへ入れちゃ、困るだろ?」
昨夜とはまた違う種類のドキドキを味わいながら戦慄くキャスケットの耳に更に唇を寄せた相手が密やかに囁く
「けど、人は見掛けによらねぇなぁ。 おまえが男好きだなんて」
ち、違う。 逆チョコ!逆チョコなんだと咄嗟に思いついた言い訳にもならない事を口走りかけて、ぅぐ・・・と口を噤む。
どんだけ盛大に間違ったら女子の下駄箱と男子の下駄箱を間違うよ、女子宛のチョコがトラファルガーの下駄箱に
入るわけがないじゃないか
「知らなかったな、」
慌てる様子をにやにやと眺めていたトラファルガーは、意味ありげに そこで言葉を切った
何を言う気なんだと更に血の気の引く耳に、笑う吐息と共に言葉が吹き込まれる

(おまえ、ペンギンが好きだったんだな)
「ひっ、」
ぼそりと囁かれた言葉はキャスケットの心臓を止めるのに十分だった
相手を特定された事で 思わず声が漏れる
(なんでなんでなんで、なんで、俺はこんな勘の良い奴のところと間違えたんだ――!!)
蒼白のキャスケットが言葉もなく固まっているのを にこりと笑ったトラファルガーが ぽんと軽く肩を叩く
普段そんな顔で笑わない級友のその笑顔は心底キャスケットを震え上がらせる

(協力、してやらない事もないぜ?)

にやりと笑ってそう言ったトラファルガーの目が 面白れぇもの見つけた、という興味津々の輝きを放っていたのを
見逃さなかったキャスケットは、知られてはならない相手に知られた事を痛感し 目の前が暗くなる思いで ぞっと背筋を凍らせた









 一時の過ちが混沌を招く

ごめん、ペンギンまで 巻き込んじまう、かも
そう思っても後の祭り












でも結局ローが絡んだ事で2人の仲も進展するんだと思う。 なんで今頃VDかというと、先日間違いWDが千堂の机に
入っていたのでw WDは心当たりにあたって直ぐに間違いが発覚するけどVDだと間違いの発覚って難しいだろうなーと
思ったらなんかこんなのになっていました。ちなみにWDは間違いと分かっていたので暫くそのまま放置していたら無事
回収されていきました(数日後ですが)
そういえばローはどうやって送り主を割り出したんだろ。告白だから多分キャスの名前の入ったカードくらい入ってたんだろうけど、
なんとなく未開封で返品したような気がするんですよ。もしかして入れるとこ偶然見てたのかな



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