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SS置場5
拍手ログ ばかっぷる P
拍手ログ。コレ、ベタ過ぎて書くのが恥ずかしかった〜










(キャスケットはまだ起きているだろうか)
仕事の帰りに同僚達に飲みに誘われたペンギンは 腕に付けた時計を睨んで、うーむ、と考えた

遅くなった帰宅時間を知らせる連絡を入れていない。
常日頃 「なんで俺が帰りの遅いてめえを待って起きてなきゃいけねーんだ!」と、さっさと休んでしまう同居人が
まさか今日に限って起きてるなんてことはないよな・・・と肩を竦める
ルームシェアしている友人が居る事は職場の人間も知ってはいるが、だからと言って今日は飲んで帰るからと
同僚達の目の前で家に連絡を入れるのもおかしいだろうとそのまま街へ繰り出した

(一次会で抜ければ さほど遅くならないと思ったのだが・・・)
店の雰囲気が良く、また、取引相手への愚痴や文句といった話題が盛り上がり、結局二次に流れるどころか最初の店で
結構な時間が経っていた
だが、既にこんな時間。
幸か不幸か朝の弱いキャスケットが起きているはずもない時間だから、物音で目を覚まして"うるせぇな!図体ばかりか
足音まででけぇぞ、馬鹿!" と怒鳴られる事もないだろう
そんな風に言われたら 悪かったかなと思っていても、ついついペンギンは "おまえがそんな神経質なタマか、わざわざ
文句を付けたくて起きてたんじゃないのか、暇な野郎だな" 等と憎まれ口を利いてしまうのだ
自分達はどうしてこうも仲が悪いのか。
そんな2人が何をトチ狂ったかルームシェアをしているというのだから、仲間内では七不思議の一つだと言われている
(キャスケットに言わせれば "ギブアンドテイク、ただ都合が良かったからだろ" という事になるか)
料理も出来なくはないが自炊なんて面倒は嫌いだというペンギンと、料理が趣味のキャスケット。
朝に弱く掃除が苦手なあいつと、寝起きにだけは自信のある自分が ひょんな事から一緒に住む事になった
(早いものだな。なんやかんやとケンカしながらも、もう一年になる)
アルコールのせいか 妙に感慨深い思いで帰宅したペンギンは、出来るだけ静かに鍵を開け、扉のノブに手をかけた

ガツン!

慎重に、静かに開くはずだった扉は、あるはずのない衝撃を与えて途中で止まる
「・・・は?」
なんだこれはと考えるまでもない。 温かく自分を迎えてくれるはずの自宅の扉は、内側からドアチェーンが掛かっていた

誰の仕業かすぐに思い至ったペンギンが額に青筋を浮かべながら 隙間に向かって声を上げる
「キャスケット!!起きてるんだろ、このドア開けろ、コラ!」
先程感じていた感慨はどこへやら。 あの阿呆、わざと閉め出しやがったと頭に血が上る
「開けなきゃ扉を蹴破るぞ」
思わずそう喚けば、やはり起きていた同居人が 中から不機嫌そうな声で応えた
「できるわけねぇだろ、ばーか!」
無断でこんなに遅くなりやがって、外でたっぷり頭冷やせ、と冷たい言葉が投げつけられる
ムカッときたペンギンは力任せにハンパに開いた扉を引っ張った

「蹴破るのは無理かもしれないがな!チェーンを引き千切るくらい簡単なんだよ!!」
「あっ、バカ、やめろ!」

慌てた声が聞こえた時には、ペンギンの腕が思い切りドアを開けたところだった

「あああっ!何しやがんだ、この馬鹿力!まぁった修理業者呼ばなきゃいけないじゃねぇか!」
無残に千切れたチェーンを眺めてキャスケットがひっくり返った声を上げる
ただでさえうちは故障が多くて評判悪いのに!と頭を抱えて喚く相手の方へ詰め寄った
「この寒空に閉め出しやがったくせに、自分の所業は棚上げか?!」
「るっせぇ!こんな時間までほっつき歩いてるてめえが悪い!」
ぱしっ、と手を振り払ったキャスケットに向けて、逃がすものかと腕を伸ばす
それをするりと躱す生意気な同居人は相変わらずの素早い身のこなしで、逃がすと捕まえるのが大変なんだと
舌打ちして追いかけるペンギンの手を擦り抜けリビングへと駆け込んだ
「待、・・・うわっ、あぶな、おいっ!」
後を追うペンギンがリビングの入り口に立った途端、本や花瓶、果てはテーブルにあった蜜柑といった
手で掴める物が次々と飛んでくる
割れ物が落ちるのは諦めて、投げつけられた物体を避けながら、どうしたんだ、今日はやけにしつこく怒っているなと
思ってよくよく見ると、投げる一瞬、ふに、と キャスケットは泣きそうな顔をする
なんだどうした?とペンギンが目を瞠ったところで、投げられる物をあらかた投げ尽くしたキャスケットが傍にあった椅子を
掴んだのが目に入った
「早まるな!それは投げるんじゃない!」
慌てて上げた制止の声にかぶさるようにキャスケットが叫ぶ

「やかましい!てめえが遅いから夕飯冷めちまっただろっ!」
「待てっ、ケーキ持ってる人間に椅子投げつける奴があるか!」
叫んだ弾みで キャスケットの目からぽろりと雫が落ちるのとペンギンが叫び返したのは同時だった


「「・・・え・・・?」」
ガタン、と力の抜けたキャスケットの手から椅子が落ちる

「・・・ケーキ?」
「夕食?」
互いに聞こえた単語を繰り返して、見合わせた顔が徐々に 赤く染まっていく

「だって、今日は 一年前俺が引っ越してきた日だろ」
ぷい、と横を向いて ぼそぼそと呟くキャスケットは照れ臭いのか耳まで赤い
「俺だって、おまえが覚えてるとは思ってなかったから・・・」
自己満足だけどとケーキを予約しておいた。
わざわざ飲み会の前に店によって、居酒屋の冷蔵庫に入れさせてもらうなんて恥ずかしい事を、自分が
進んでやるだなんて 一年前は思ってもみなかった
「夕食、喰ってもいいか?」
「え。・・・でも、食べてきたんだろ」
ちらりとペンギンの方を覗うキャスケットの向こうには、自分の好物ばかりが並んだテーブルが見えていた
「問題ない。おまえの手料理は別腹だ」
実際、キャスケットの料理は旨い。 飲んできたとはいえ、用意された料理は全て食べられそうだった
「莫迦、無理すんな」
そう言いながらも照れ笑いを浮かべるキャスケットは嬉しそうで、この笑顔の為なら腹の一つや二つ、
食い過ぎで壊しても構わないと感じる
「・・・待ってろよ。すぐ、温めるから」
穏やかに見つめるペンギンの視線に落ち着かないのか、そそくさとキッチンに向かうキャスケットの肩を掴んで
引き留める
いつもと違って、喧嘩腰でない穏やかな空気。・・・伝えるなら今を於いて他にない
この雰囲気が崩れないうちにと、振り返ったキャスケットに向かって口を開く
「いつもありがとう。 これからも、一緒に居てくれ」
「えっ?」

囁くと同時に、目を見開いて立ち尽くしたキャスケットの無防備な唇を素早く奪って 驚きに固まる彼の体を
誰にも渡すものかと腕に閉じ込め、その感触を確かめるように ぎゅっと 強く抱き締めた







 一年目のキス

「なっ、な、なに・・・っ、ペン、・・・?」
「好きだ。 誰にも渡さない」
「〜〜〜〜〜っ!」











あああ、照れたキャスケットに殴り飛ばされるオチにしたかった! 因みにこれがペンキャスのファーストキスです(
そしてここでお知らせです。以前コラボしたカラ色トリ籠さんで素敵企画が公開!ご興味ある方は是非ご参加下さい^^(TOPの企画よりどうぞ)



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