[通常モード] [URL送信]

SS置場4
拍手ログ 1人遊び L

典型的なドリームSSって感じの拍手文になりましたw キャスがちょっとイタイ子かなぁ・・・差替えた拍手は公式xペンに
なりますので苦手な方はご注意下さい。拙宅キャスペンがありだから公式xペンもありなんだぜ













久しぶりの上陸で、頼まれていた物資の調達を無事終えたキャスケットは この後は自由の身だけど
先に手に入れた荷物を船に運び込もうと両手に荷物を抱え、持ちきれなかった分は首から下げ、肩には
大きな箱を乗せて船へと戻ってきた
途中、大量発注した店で荷車でも借りればよかったのだがそんな大荷物になる予定じゃなかった為
手に抱えて運んでいるうちに、予定の金額で予想外に大量に仕入れが出来たりと、気付けばこんな量に
なっていたのだから仕方ない
最後に立ち寄った店ではそれだけの荷物なのにまだ買い物をしてくれたからおまけだよと、店頭に
立っていたおばあさんが白くて丸い瓜のような果物を袋に入れて、両手のふさがったキャスケットの
首に人懐こい笑顔で下げてくれた

カサカサと音を立てる袋から、美味しそうな匂いが香ってくる
船での居残り組と分けて食べてもいいなと頬を緩めながら帰船したキャスケットは、倉庫へ向かう途中に通った自室へ
それを放り込み、先に荷物を片づけて身軽になろうとスタスタと廊下を進んでいた

「あれ?」
見慣れた斑模様の白い帽子が数メートル先に転がっている
流石にそれを足で蹴り上げるのは見付かったら叱られるかと右手に持っていた荷物をひょいと頭の上に乗せ、
崩さないようバランスを取りながら拾い上げた
手にふれた感触はいつものふわふわとした手触りではなく、少し湿っていて、さては洗って干していたのが
風に飛ばされたのかと 荷物のせいで傾いた頭で考える
「これを、船長のとこに届けるのも後!」
仕入れた数を記入して倉庫に荷物を全部つめこまなくちゃ、と帽子を持ったままキャスケットは倉庫に入って行った






「船長陸に降りちゃったみたいだなぁ」
整理を終えて部屋に戻ったキャスケットは 持ち主を見つけられずにまだ帽子を手に持っていた。
片づけの間中、風の吹き込む場所に置いたお陰ですっかり乾いた帽子はいつものふわふわの手触りで、
丁度いい具合に陰干しになったのに、本人が居ないんじゃねと、取り敢えず自室へ戻ったキャスケットは
ぽいぽいとブーツを脱ぎ捨てて、船長の帽子と一緒にベッドに向かう
勢いよく倒れ込んだ顔の横には、さっき放り込んだままの白い大きな瓜が転がっていて
「あ。そうだ」
キャスケットは、ごろりと俯せに向きを変えると、その果物に手にしていた帽子を被せてみた



「ははっ。 なかなか、いい感じかも。」
丁度 人の頭ほどの大きさの果物は、帽子にぴたりとフィットした。
肘をついて上体を起こしたキャスケットは 目の前の果物の真ん中を つん、と指で突いてみる

ゆら・・・と、小さく揺れたそれは、船長が首を傾げたように見えて、笑みの形のキャスケットの唇から
くすくすと秘やかな笑いが零れる

「仕入れも終わったし、俺、この後は自由時間なんですけど」
ちょい、と今度は横からつつく

なんとなく、船長の頬をつついてるみたいで、本物の船長にこんなことしたらどやされるだろうなぁと
思うと妙に可笑しくて、つんつんつん、と続けてキャスケットの指は果物を弾いた

「船長、この後、暇ですか」

つつく形の指のまま、ぴたりと手を止め 相手不在のその部屋で聞いてみる
面と向かっては聞けそうにないからと、果物相手の一人遊び。
それでも、それが船長の帽子を被っていることで此処にローが居る想像が広がって、キャスケットは
にこにこと嬉しそうにその遊びを続ける

ゆらゆらと揺れるそれは 肯定だか否定だか分からない
見ていると その動きは返答に困ったローがやれやれと首を竦めているようにも思えた

「そんな、困った顔しないでよ。俺と一緒じゃ、街を歩きにくいっすか?」

ちょい、と、今度は鼻の辺りを想定した場所をつつくと、急に位置を変えたからか、それまで
左右に揺れていた果物が キャスケットの質問を肯定するように こくりと縦に大きく揺れた


酷い!と思わず両手で果物を掴む
そんなタイミングで頷くなんて酷いじゃないですかと、揺れを止めるように、しっかりと。

キャスケットの脳内では、いきなり頬を包まれたローが 目を丸くしてキャスケットを見返している

「ねぇ、船長。俺のこと、嫌い?」

突然の質問に目を瞬かせたそれは、次いで、にやりと唇を引き上げ どうしてだ?と逆に目で問い返してきた。
相手が果物だというのにローの視線を感じるようで、その眼力に圧されて掴んでいた手を離す

「知ってるくせに。意地が悪い。」
離れた弾みで またゆらゆらと揺れるソレは さぁね?とにやにやとからかっているように見えた

完全に手を離したキャスケットが、ぱたっとシーツに顔を落とす
下から見上げる斜めの視界の中で揺れる、帽子を被ったローに向かってキャスケットは、そうっと手を伸ばす

「・・・意地悪だけど、好き。」
目の前に船長が居たら絶対に言えないけど
だから、誰も居ない自分の部屋で、偶然拾った帽子に向かっての、精一杯の告白。

今度だけは、"あぁ"と、頷いて欲しい

(縦に、揺れて。)
そう思いながら、そうっと、静かに手を伸ばしたキャスケットの指が触れそうになった、その時




「へぇ? そりゃ、知らなかったな」




聞こえてきた"聞こえるはずのない声"に、キャスケットの心臓がドキリと大きく跳ねた
同時に、びくっ!と飛び起きたキャスケットの支えにした手がシーツを滑ってベッドから転がり落ちる

"うわっ?!"
という声が出たかどうかも自分で分からないまま床に転がって大きく目を見開いたキャスケットは、
くすくすと笑う音が頭上に被さってくるのを感じながら固まっていた

「この後、空いてるぜ?」

自分を助け起こした腕の持ち主が そう答えるのを夢じゃないかと呆然と聞きながら、優々たる
身のこなしで帽子を頭に乗せた船長に連れられ、真っ赤な顔でキャスケットは船を下りた








 一人遊びと寡黙な果実


[*前へ][次へ#]

89/100ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!