SS置場4 逆輸入SSS 海(ローのみ) 夢から逆輸入。ローメインというか、ローしか居ません。2年強前に書いたもの。確かこっちでは未公開だったはず・・・ 海底から空を見上げる 海の水を通して見る景色が*****は好きだった 高くそびえる建物。その輪郭は水の波紋に歪められるものの、海水を通して見る景色は どこか優しい色に染め上げられる 太陽を直視する事も可能。 陸に上がる事ができないので地上からの景色は知らないが、海上からの風景よりも 水中からの眺めの方がどこか優しい 透明な水を通して眺めるだけなのに、この違いは海のせい *****は、空を眺めながら海水にゆったりと身を委ねる 頭上に浮かぶのはずいぶんと大きな船――2船ある船は争いを起こしているらしい 幾人もの人間が海に落とされるのが見える (人間は争いを好む) 平和を好む自分たちとは相容れない種族なのだろう ぼんやりと眺めるうちに、どちらかの船が勝利を収めたらしい 再び海に静けさが戻ったのを切っ掛けに*****は その場所を変えた (しばらくは後始末で海面付近は汚されるだろう) 戦の跡だった場を離れ *****は先程とは別の海から空を眺めていた こちらの空はからりと晴れて、海を行く船も一艘のみ しばらくは穏やかに過ごせそうだ、と たゆたう波任せに海を漂う その*****の視界を横切って、海面からゆっくりと落ちてくる男の姿が目に入った 普通、人間は海に入れば海面付近を自由に泳ぐか、溺れた場合も海上に戻ろうと激しく蜿く だが、ゆっくりと自分の元に落ちてくる男はそのどちらもしなかった 逆らわずに流されるままに、だらりと力を抜いてこちらにやってくる 男の口から、ごぼりと酸素が零れた (あれでは命はあるまい) 見ている間に すぐ目の前にやってきた男の体からは自分と同じモノを僅かに感じた この男も、自分と同じ、海に抱かれる生物―― 聞いた事がある。地上の生き物でも、ある実を食して自分たちとの境界を越える事ができると。 だが地上の生き物の肉体では海の祝福に応える事は出来ない この海の愛が分かるか?おまえは、私達と同じように 海に愛されている 胎内に還るように優しく包み込むこの温もりをその身で感じとれるか? (間違うな――私達は愛されている) 喩え その大きさにお前の生命が飲み込まれようとも (海はおまえを愛している) こぽり 静かな音を立てて 男の肺から、最後の酸素が吐き出された 命が尽きようとしている目の前の男からは、海を嫌う気配は感じられなかった。 (この男は海を理解している) その過ぎた愛に生命を奪われようとも、この人間もまた海を愛している 唐突に、この人間を助けたいという気持ちが沸いた 男の口元に、少しの酸素を送る この人間が自分の見ている目の前で海に落ちたのも、そういう運命だったのだろう *****は、意識がないものと思っていた男の目が開いて自分の姿を捉えている事に気付いて驚いた (見えているのか?) こちらの姿を目で追っている――確かに自分の姿はこの男に見えているらしい ・・・それもまた 例の実の効力かもしれない 我々は同じ分類に属しているのだから。 互いに意思を疎通させる術はない 少しずつ 酸素を送ってやりながら黙って男を見つめる 不意に 静かだった海底の空気が乱れた 海面から、騒がしい一団が降りてくる ――この人間の仲間、らしい だが彼等は自分とは仲間ではない 目の前の男が、その騒々しい集団に囲まれ 連れて行かれるのを黙って見送る やはり自分の姿は男にしか見えていない 男の問いただすような視線を感じて、表情が伝わるか確信を持てないまま*****は口角を上げた おまえはまだ此処に来るには早い いつか地上での命が尽きる頃、海に還ってくればいい それまでは静かに見守っていよう *****のたてる笑い声が幾重にも重なった波を生む その波に押され、一団が海面へと押し上げられるのを*****は楽しげに見送っていた 海に愛される生きもの 語り手の名前が*****なのは地上の言葉では発音できないからです…という意味のない裏設定 。 リンパ腺の腫れ酷くなったー!起きたら悪化してました。「寝返りうつのも一苦労」って感じに。 立ち上がったり座ったりするのもゆっくりじゃないと出来なくて、しかも「ふぐっ!」とか「ふご!」とか 本当にこんな呻き声上げる人いるんだなーって自分で思うくらいの呻き声が出ますw 笑えるw (痛いけど) 座ってても寝てても痛いんだけど取り敢えず寝てます。あぁ、ドタキャンすいません。 [*前へ][次へ#] [戻る] |