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SS置場4
表裏ない熱欲 〔頂き物〕 R12 キャスペン


表裏ない熱欲 

※キャスペン・12禁? ペンさんが少しリバ(notバイ)要素あります








平穏な日々が続くと、少しの不安や痛みで、とてつもなく怯えてしまいそうになる。

幸運があれば、不幸もあると決めつけているのは、酷い思いこみだ。

嫌な事があれば、手放せば良いし、背を向けても良い。
罪悪感などは、凡人が抱く事。

身勝手と糾弾されるのなら、
生まれて来たこの身は、どうせ、
自分とは全く不本意な所で作られた事実を主張して、冤罪だと言い張ってみせるのも、悪くない。

顔をしかめる善人達の顔を満足気に見渡して、
美味い紅茶でも、すすってみせよう。

綺麗事を吐く唇も、
汚い言葉を絞り出す咽喉元も、
どちらかに偏るだけの人生なら、面白くない。

偽善だろうと、悪人面をしようと、
最終的には、皆、行き着く所は土の底。

それなら、
後悔のない時間の為に心臓を動かし、酸素を取り入れ、息を漏らそう。

「……明日、早いって言ってたじゃない」
彼の声は、非難めいた熱が込められてはいるが、
決して、拒絶されている温度ではない。

『だから、さっさと済ませれば良いだろう?』
せっかく、就寝時間を過ぎて三十分も我慢してから彼の部屋に忍び込んだというのに。
ベッドで上体を起こした彼の胸元を、服の上から、撫でつける。
『寝たままでいてくれた方が、夜這いの愉しみがあったのにな』
眠る時には、さすがに外しているサングラス。
暗い室内でも、
間近に顔を近づければ、少し眠そうで、少し迷惑そうな彼の眉間と瞳を、堪能出来る。

「何も言わなかったじゃない。だから、今夜は来ないのかと思ってたけど」
『じゃあ、今夜抱いてくれと朝っぱら言った方が良かったか?』
「何も朝に言わなくても良いんじゃない?」
『なら、昼か?夕方?夕食時?』
馬鹿みたいな応酬は、大好きだ。
揚げ足を取って、くだらなく言葉を繰り返して。
いつの間にか、どうにでもよくなってくる、無駄遣いで贅沢な、時間の使い方。

彼の小さな溜め息が、部屋に広がっていく。

「皆の前だと、そういう素振りは欠片も見せないくせに」
『偽っている訳では、ないからな。冷静で真面目そうな一面も自分だし、お前だけに見せている一面も、自分なんだ』
装った己を演じたところで、役者でもないのだから、拍手をもらえる訳でもない。
感情に任せて、理性に任せて、
その都度、自分を楽しむ。

昨日言った事と、
今日主張した事、
明日告げる事が全部食い違っていた所で、それが自分。

一貫性をもたせたい神経質な人なら、耐えられないのだろうが、
あいにく、鈍感な面も、自分は持ち合わせているから。

『嫌いじゃないから、追い出さないのは解っているさ』
指に、彼の髪を絡ませながら、鼻筋を近付ける。
入浴から数時間経てば、石鹸の匂いは薄れて、
代わりに、本来の肌質の甘い香りが、漂い始める。

『今日は俺が動くから、お前は寝ててくれ』
「なんだか、それって、どちらが受け入れる側なのか解らないんだけど」
『どっちでも構わない。快楽に、変な理由は要らない』
快楽は、快感を得る為。
人が暗闇で裸になるというのは、そういう事。
単純な理由で、本能的な理由で、
異性同士だと、たまに子を為す。
そうやって、
この世界には、様々な生物が溢れている有様。

溢れているのなら、
快楽だけを目的とした、肌の合わせに一生を費やす選択をしても、良いはずだ。

『なんなら、今夜はお前が受け入れてみるか?』
「無理。お前みたいに、頑丈でもないし、経験も少ないんだから」
彼の方が、余程可愛らしい顔をしているというのに。
その幼さの混じる顔が、
自分の中で果てる刹那の、

男性としての表情は、
たまらなく、こちらの欲情を満たしてくれる。

そんな顔が、
今宵も、見たくて、狂ってしまいそうな程だ。

『もう、いいだろう?』
ためらいがちに、彼が視線を逸らしつつも、軽く肯いてくれる。

お預けを喰らっていた飼い犬が、ようやく餌に飛び付ける許可を貰えたかのように、

ためらわずに、彼の唇を、貪っていた。













『海風 きまかせ 舵まかせ』のアベベさん宅で珍しくキャスペンを発見したので飛びついていただいてきました!
昨夜UPされたところの掲載ほやほやのお話です^^ いつもと雰囲気が違って饒舌なペンさんイイですよね!
拙宅では真面目に振り回されてる系のペンさんのイメージが強いので振り回す側にいるペンギンさんが
美味しいです。 これ、BGMが裏/表/ラバーズだそうです、ボカロの。テンポの良さが言葉の言い回しに出て
ますよねv 曲を思い出しながら再読してみてください、雰囲気分かりますから^^ ビッチペンごちそう様でしたvv



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あきゅろす。
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