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SS置場4
誰のもの? 〔頂き物〕 R15キラペン

 誰のもの? ※R15 キラペン









 ハートの海賊団では、自分の持ち物には全て名前を書くのが常識だ。全員が同じつなぎに、似通ったアクセサリーを
身に着けているせいかもしれないが……それを言った時、笑い交じりに驚かれたのは正直、不本意で不快だった。
「お前たちは書かないのか?」
 睨みつけながら、斜め前であぐらをかいている男に尋ねてみると、間髪いれずに書かないと言われた。
なんで。そんなことは聞かなくても分かる。個々に違う、あの余りにも個性的な服装に、名前を書く必要などない。
取り違えるなんてありえないことなのに――聞くだけ無駄だったな。そう思いながらため息交じりに寝転がると、
相手もおれの後を追うように寝転がった。
 金色の、腰まである長い髪がベッドの上で広がる。室内が薄暗いせいか、まるで銀杏の葉でできた絨毯のような色合いに見えて。
綺麗だ、と。思わず呟いた。
「ペンギン」
「ん?」
「寝ぼけているのか……?」
 伸ばされてきた腕に瞼を降ろして、自分の真っ黒な髪に触れる、男の指先に神経を集中させる。
撫でるように動き、時折絡められて、髪を少し引っ張られてすぐに放されて。
 頭の後ろに移動してきた掌に瞼を上げると、鼻先が当たりそうな距離にいる男と視線を交わらせる。
そのまま流れるように重ねられた唇に小さく息を呑んで、再び瞼を降ろした。
「ん、ンっ……は、ぁ……キラー……」
「どうした?」
「……もっと、して」
 キラーの首に腕を回しながら、下唇を甘く噛む。喰らいつくような乱暴なキスにビクついた身体を宥めるように
上半身を這う指に身を捩り、淫らな水音をさせながら舌を絡める。鼻から抜けたような自分の声も、キラーの次第に
荒くなってくる息遣いも、全てが欲を掻き立てる材料になって、至極気持ちが良かった。
 二度ほど繰り返した行為の後、どうやら汗を流さずに寝てしまったらしい。
べたつく身体に眉を顰めながら髪をかき上げて、こちらに背を向けているキラーを見やる。
「……キラー」
 掠れた声で名を呼んでみたが、返事はなかった。珍しい。けれど、これはチャンスだ。
思いながらキラーの背に張り付いている髪をはらい、肩甲骨に唇を寄せる。少し強めに吸いつくと、唇を離した時に
赤くなっているのが見えて、思わず頬が緩んだ。それからしなやかに筋肉のついたそこに額を当てて、彼の背を
視界に入り込んだ金の上から、指でなぞる。
(き、らぁ……)
 名前くらい書いとけよ、バーカ。小さく笑いながら胸の内で呟き、もう一度指を動かす。
(す、き)
 好き。
(おーれーの)
 おれの。
「おれの…………好き、だぞ……キラー……」
 ふふ、と声を上げて後ろから腹部に腕を回すと、彼の背が僅かに揺れた。思わず目を見開くと、腕を掴まれて、
ようやくおれは、キラーが寝た振りをしていたのだと理解した。
「おま、いつ……!」
「最初に、名を呼ばれた時からだ」
「だ、ったら……返事くらい……っ、手離せ!」
「離したらお前は殴るだろう?」
 当たり前だ!
 言ってやりたかったのに、おれの腕を掴んだまま器用に身体を反転させたキラーは、シーツの上に押さえつけるようにして
体重を掛けてきたから叶わなかった。ギシリと鳴いたスプリングが、先ほどまでの行為を彷彿させる。上昇した体温が掌を濡らし、
己の唇を舐めるために舌を出したキラーに、恥ずかしさの余り涙が溢れた。
 目尻から耳に向かって流れるそれを、キラーが舌で掬い取る。塩辛い。呟かれたセリフにバカじゃねぇのと絞り出す様に言って、
鼻先を舐めようとする彼の唇に、己のそれを無理矢理合わせた。抑えられている手首が悲鳴を上げそうになるが、今は
そんなことよりもキラーとのキスの方が、大切――かもしれない。
 全身の力を抜いて、浅い場所で舌先を触れさせ合いながら、手首から掌へと移動してきたキラーの指に自分のそれを絡める。
立てていた両膝の裏に腕が滑り込み、僅かに腰が浮く。羞恥の余り抵抗しそうになったが、当然キラーはそれを許してはくれない。
数時間前と同じように体内に埋め込まれる質量と、同時に深く入れこまれる舌に息が止まりそうだった。
 キラーが動く度、グズグズに溶けそうになる思考で、様々な事を考える。
 潜水艇に戻った時にキラーを殺しに行くと豪語する船長を諌めなければならない事。
 事実はどうあれ、キラーを引きとめていた二日間をユースタスに睨まれる事。
 今日別れたら、次はいつ逢えるのだろうかと言う事。
 そして、それらがどうだって良くなるくらい、この行為が気持ちいいという事。
「お前にも、おれの名を刻んでもいいか、ペンギン」
 キスの合間に問われた言葉に首を縦に振って、激しさを増す一方の行為に、嬌声を上げながら背を仰け反らせる。
「ふ……もうすでに、刻んでいたな……」
 呟かれた言葉に瞼を押し上げると、汗を流しながら獣じみた表情をしているキラーが視界に飛び込んできて、頭が真っ白になった。
バクバクと音を立てる心臓と、痙攣したかのように震え続ける脚。声を抑えることができずに泣きじゃくるおれに、キラーは目を細めながら
胸元から下腹部にかけて優しくなぞるように、ゆっくりと指を動かした。
「ふ、ぁっ……キ、ラー……」
「ペンギン……」
「きらぁ、っ」
「お前の……この中に。おれを刻みつけていた、な」
「んん……きもち、い……っ、あ」
 中で質量の増したそれに体が跳ねる。
「あまり、煽ってくれるな」
 そう言ったキラーはおれの手首にキスを落として、獣じみた表情から一転、蕩けるような甘い表情を見せた。





おわり











梅こぶ茶さまより茶会での宿題文を頂きましたv 宿題のお題は「キラーの背中に“おれの”と書くペンギン」(※参加者のみDLF)
話していた時の予想では学パロとかで見掛けるような初々しい2人を想像していたのですが予想外にアダルティ!
拙宅と違ってペンさんが(夜的な意味で)素直だな〜と可愛らしく思いながら拝見しました、素敵文ありがとうございますv
(そういえば自分の提出した宿題はサイトに飾ってない関係でDLFになってないなぁ・・・ ま、いっか← オチ無いし。)
奇しくも8月9日、ハグの日にらぶらぶなキラペンを飾らせて頂きました^^   2011.8.9 
  


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