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SS置場4
花 (E+C)

某Aさまからのリク(?)ですが、Aさま宅のお話とは全く雰囲気が違ってしまいました(ぇ とりあえず百合っぽい
ペンキャスが居ればいいのかな?居る、よね、多分・・・  リクエストは「キドペンキャスでペンとキャスは百合系」
ペンギンさんが右側に回るのは受け付けないという方は読まないで下さいね^^ Aさま宅の、元になったお話は
ローの気紛れで「キッド海賊団の船長室に忍び込め」と言われたペンギンとキャスケットが囚われてしまった後の
一場面でした。 Aさん宅のキッドさん好きなのですが書けなくて拙宅キッドになってしまいました、すいません!
あ、そしてキャスケットのキャラクターが。元のお話と違ってる、ヤバイ! 書き上がってみれば最初に予告していた
とおり、拙宅双子キャスみたいな2人になりました。だって、あの2人がうちで一番百合百合しいんですもの〜















飲み始めた時からなにやらそわそわしていたサングラスの船員が 彼の相棒の手から酒の入ったジョッキを取り上げる
「もうやめとけよ」と話している声が耳に入り、あぁ、と合点がいく
彼がそわそわしていたのは 敵船での酒の席に落ち着かないのだと思っていたが、どうやら心配の矛先は
自分の身ではなく彼の相棒の事らしい
こちらの申し出を断れなかったのだろう防寒帽の船員は普段酒をそう多く嗜まないのか、飲み始めてまだ
1時間ほどしか経っていないのにもうその顔色は真っ赤に変わっている
「そいつ、酒弱いのか」
話し掛けるキッドに顔を向けたサングラスの船員――便宜上 彼のかぶる帽子からキャスケットと呼ぶ事にする。
なら、相棒はペンギンとでも呼ぶか?
くすっ、と他愛もない事を考えながら声を掛けたキッドに キャスケットは真っ直ぐ視線を向けた
どうやら胃に納めたアルコールの効果か、倉庫で目を覚ました時よりは彼の心臓も落ち着いてきたらしい
「元々、あまり飲まない方なんですよ」
すぐに眠ってしまうから、こいつにそんな失態をさせない為にも後は自分が飲みますと答える彼は、
見かけと裏腹に酒には相当強いらしい
相棒の分を飲み干して、さらにキッドが注いだ酒を一気に半分近く飲んでしまった
「いける口じゃねぇか」
にかりと笑ったキッドの口調に照れるように首をすくめて「昔っから、こいつの分も飲んでたんで自然に
そうなりました」と隣で自分の肩にもたれ掛かる相棒を窺う
気遣うように 指先の動きの鈍ってしまった相棒に料理を取ってやったりと面倒を見る様子は
先程倉庫で感じたイメージを逆転させる
「普段は 自分の方が面倒を掛けてるんですよ」
キッドさんの印象は間違っていません、と笑ったその顔は、緊張の解けた自然な表情をしていて
彼等2人の仲の良さが伝わってくる
さっきから酒の肴にした航海の話や島での出来事を語る時とは段違いに生き生きとするその顔は、
彼が如何に相棒に愛情を感じているかを如実に物語っていた
(誰でも、好きなものを語る時は こんな顔するよな)
目の前でジョッキを傾ける客人は徐々にこの酒宴の席に馴染みつつある
敵船の中へ ぽつんと放り込まれた彼等は、躾の行き届いた兄弟が寄り添っているようなイメージを与え、
2人纏めて遠慮するな、もっと楽にしろよと可愛がってやりたい衝動を感じて、彼の頭に手を伸ばす
「わ、」
よしよし、と帽子ごと頭をぐしゃぐしゃと撫でてみる
反動で揺れた肩から相棒がずり落ちそうになって慌てて支えるキャスケットの姿に思わず笑いが零れた

「今にも、寝ちまいそうじゃねぇ?」
キッドの声に2人して顔を向け こちらを見上げてくる
顔立ちが似ているわけでもないのに 双子に見つめられでもしているような印象。
「少し目をつむってみる? 10分でも眠れば目が覚めるよ」
「・・・そのまま朝まで眠ってしまいそうだ」
2人の相談する内容までが可愛らしい
ははは、と声を立てて笑ったキッドは
「寝ちまってもいいんじゃねぇか。どうせ迎えは朝まで来ないんだ。 ・・・来な」
船長自らが席を立っての案内を断れる奴等じゃないだろう
そう思った通り、本当なら遠慮するであろう場面なのに顔を見合わせた彼等は大人しく宴会を離れて
キッドの後をついてくる。
片方を寝かせて片方は宴会に戻るという判断もありそうだが、2人が離れるのは見たくないな、と感じる。
何故か、2人一組で眺めるのがいいと思わせる雰囲気が彼等にはあった
彼等2人一緒で気に入った、というのが正解かもしれない
客室に向かおうと思っていたキッドは、途中で気が変わって方向を変える
背後に従う彼等から 戸惑った空気が伝わってくるが、構わず先に立って歩を進めた

「・・・キッドさん?」
船長室の扉を開けたキッドに向かって、キャスケットが疑問の声をあげた
ペンギン帽の男は状況を計りかねたように口を噤んでいる
「船長室に忍び込むのがおまえらのミッションだろ? ここならベッドもあるから寝ちまっても構わない。
あいつらはあいつらで勝手に楽しんでるから、俺達はここで飲んでようぜ」
船長室に通される事に躊躇いながら、しかし本人に招かれては断る事もできずに おずおずと足を踏み入れる2人組を
目を細めて眺める
こいつら、マジで可愛いな
この事態を心底楽しく思いながら、トラファルガーもよくこいつらをこんな危険な船に寄越したものだと鑑みて、
いや、むしろ一晩楽しめという奴一流の贈り物かもしれないなと キッドは静かに扉を閉めた









「寝ちまった。 あぁ、寝顔も結構可愛いな」
腰掛けて飲んでいたベッドに沈んだ片割れの帽子を取り去り さらさらとした質感の前髪を指で掬う
意識を手放した寝顔は 倉庫で見た素顔よりも一層可愛らしさを増していた
彼を挟んで隣で飲んでいたキャスケット帽の船員が 少し焦った顔になるのを見て 悪戯心が沸いてくる
「なんだ? もしかして、こういう事されるのは嫌か?」
からかうつもりで、彼の相棒の方へ身を屈めてさらけ出した額に唇を寄せる
短く声を上げたのは眠りに落ちた船員ではなくキャスケット帽の方だ
彼の相棒の上に覆い被さったまま、にやりと唇を歪めて笑うと、キャスケットは詰めていた息を吐いて額に手を当てた

「・・・人が悪いです、キッドさん。気付いてて やりましたね」
観念したように話すのを聞いて身を起こす
「3億の賞金首が人が良い分けないだろ? おまえらのとこの船長を思い返して見ろ」
あー・・、と微妙な表情で唸る船員を楽しげに眺めながら、更に彼を追いつめる
「こいつはお前の恋人か?」
アルコールに強いと言っていた彼の顔が、眠る相棒につられたように赤くなる
嘘の吐けない彼の表情はさぞかしトラファルガーの格好の玩具だろうなと目の前の船員に同情しながら
更に 彼へと畳みかけた
「じゃぁ、こいつがキスされるのと、おまえがキスされるのとじゃ どっちがいい?」
キッドからの思わぬ提案に目を瞠ったキャスケット帽の男は 意外なことに素早く決断を下した
「俺と、キスしましょう、キッドさん。眠っている人間相手じゃ物足りないでしょう?」
「別に無理強いするつもりはないぜ」
男は キッドの返事を待たずに 恋人である相棒の上へ乗り出すようにキッドの方へ身を傾けてくる
純情そうに見えても海賊の一員だな、と キッドも彼の恋人の横に手をついて、キャスケットの方へ身を屈めた



「・・・ん、・・・っ」
口付けを深くしても、逃げずに応えて舌を絡める
案外慣れた反応を返すこの男を、"こいつらの雰囲気じゃ どっちが上か分かんねぇな" と観察しながら抱き寄せた
そもそも彼の恋人は眠ってしまっている
どちらがどうであれ 恋人の横で抱くのは いくら雰囲気に流されたと言っても無理強いした感が拭えない
「あんまり煽るなよ? 後先考えずに抱いちまう」
「意外と紳士ですね、海賊なのに」
一度返したサングラスを取り上げて隠れていた彼の素顔を露出させ、くく・・・と喉の奥で笑う
「知ってるか?それを煽ってるって言うんだぜ」
それとも誘ってるのか、と引き寄せた手で彼の顎先を擽ってやる
キッドの問いには答えず口端を引き上げた男の体をベッドへと傾け、彼の恋人を乗り越えながら その上にのし掛かった

「一宿一飯の恩義のつもりか?」
逆らう意思のない相手にも関わらず 掴んだ腕をシーツに押しつけてしまう
「気分が乗らないのならいいんですよ」
「のらないわけじゃねぇから困ってる」
困らなくていいのに、と組み敷いた相手に微笑まれてしまっては後に引けない
折角見逃してやろうと思ったのに莫迦な奴だ
そう考えるうちにも、キッドの手は男の服を引き剥がしている
服の下から現れた手触りの良さそうな肌をべろりと舐め上げても拒絶の声が出ないのをいいことに、
身を差し出した獲物に興奮の歯を立てた


「・・・っ、ぁ、ん・・っ」
自ら誘いを掛けた男はキッドから与えられる刺激に素直に声を上げ反応を返す
愛撫される事に慣れているのか積極的に体を開く男はすぐ隣に恋人が居るというのに気にならないのだろうか
彼の恋人へ意識を移したキッドの内心を読んだかのようなタイミングで男の手がシーツを探って、眠る相棒の手に触れる。
意識の無いものと思われたその手が、きゅっ、と握り返した事に目を瞠るキッドへキャスケットが意味ありげに笑い、
軽く腕を引くのに従って2人の間にペンギン帽の船員が割り込んだ

目の前で、2人が唇を合わせる
「ん、」
キャスケットと違って抑えた声を漏らすペンギンは酔って眠っていた為か すぐに力が抜けてしまったようで、
彼の恋人の誘導に従ってシーツに沈んだ
キッドの目の前で恋人の着るつなぎをくつろげながら笑うキャスケットの目は 3人で楽しもうと誘っている。
おい、いいのかよ、と試しに手を伸ばしても2人の唇から否の声は上がらない
触れる肌質は彼等の出身の特徴なのかどちらも滑らかで、白い肌は刻まれていく赤い刻点が鮮やかに映える
脱がせていくキッドの手にも素直に従う男が躊躇いを見せたのは何も纏わぬ脚に手を掛けた時だけだ
こちらの船員の方は キャスケットより羞恥心が強いのだろう
困ったような表情の彼が自分でもうまく力が抜けずにいるのを見たキャスケットが伸び上がって口付ける
長く交わす口付けに緩んでいく恋人の表情に微笑んだ唇が そのまま耳の方へ滑り、「足、開いて」 と優しく乞い願う
その囁きが強張りを解く呪文だったのか 躊躇っていた男の足は、キッドの手に従って大きく開いた


「あ!あ、そ・・な・・・・とこっ、ひ、ぁ・・っ」
2人掛かりの攻めに 堪らず彼の喉から悲鳴のような声が上がる
積極的な片割れを弄るのもそれなりに楽しかったが、強すぎる快感に戸惑い羞恥に頬を染めながら震える男の痴態は
思った以上に夜を煽る
ふふ、と彼の首筋に口付けていたキャスケットが "どう? 可愛いでしょう" と自分の恋人を自慢するように目を細めて笑った。
どうやら こちらの方がリードをとるのがこの恋人達の普段のようだが、先程触れた感じではキャスケットの方も充分に
抱かれる事に慣れた雰囲気があった
(どっちが上とか、拘りがないのかもしれねぇな)
彼等の雰囲気がよく似ており、柔らかいイメージを含んでいるのは その柔軟性に拠るものかもしれない
同種の花が香りを振り撒き戯れる不思議な閨房に招かれたような、そんな夜を彼等の気紛れなリーダーは予想していただろうか

(生憎だな。後で慌てたって手遅れだ。船が到着する頃には てめえの自慢の船員供は俺に喰われちまった後だ)
どっちも残さず喰ってやるから安心しな、と ぺろりと唇を湿して笑うキッドは航海中では中々得られないこの余興を余さず
楽しむつもりでいた
何を考えているのか分からないこいつらの船長も 平穏な航海に刺激を求める今の自分のような心境かもしれねぇな
ちらりと浮かんだ考えは なるほど、尤もな理由のように思える
「もういい。」 明日には手放さねばならないこの夜を楽しもうと余計な考えは締め出し 先程から キッドの性器を
しゃぶっていたキャスケットを押しのけ 2人掛かりの愛撫ですっかり蕩けきった彼の恋人の上に覆い被さった











「キッド。起きているか? そろそろあいつらの船が来る頃だぞ」
ノックの音とキラーの声で目覚めたキッドは、自分の隣で抱き合って眠る恋人達へと目を向けた
随分遅くまで相手をさせてしまったが 2人交互での交歓だったから今日に残るほどの無理はさせていないはずだ
ペンギン帽子の方はキッドが手を出さない間も 彼の恋人を受け入れていたから多少キャスケットよりは
疲労しているかもな、と あどけない顔で眠るペンギンの前髪を指で掬う
その毛先が当たったのか、「・・・んん、・・・・」 と寝惚けた声を出して彼にくっついて眠っていたキャスケットが身動いだ
「起きろ。そろそろ迎えが来るぞ」 というキッドの声で 眠そうだった目が ぱちりと開く
一瞬 きょとんと目を瞬いた彼は 隣の恋人に視線を移し、次いで "おはようございます" と はにかんだ笑顔になった

隣に眠る相棒を揺り起こしたキャスケットは ちゅ、と恋人の瞼におはようのキスを落としてベッドを抜け出た
手早く身支度を調えた2人と部屋で朝食を摂っている時に 船の影が見えたと一報が入る
朝になってみれば昨夜の空気など欠片もなく、それまでと同じ かしこまった敵船の船員といった態度の2人が
自船に戻るべく立ち上がる
どうせトラファルガーが到着すればここに知らせが来るのだが 自分達の船長を甲板で迎えるつもりなのだろう
キッドまでもが迎えに出てやる義理はないが、自分が部屋に居ては彼等も出ていきにくいかと腰を上げる
連れ立って部屋を出、外へ向けて歩く途中で 2人に呼び止められて立ち止まった

「キッドさん」
呼び止めたのはペンギン帽子の方。
彼の言葉を継いで、なんだと振り返ったキッドに向かって話を始めたのはキャスケットだった
「自分達が本当に受けた命令は "3億越の船長の部屋"ではなく"3億越の船長のベッド" に忍び込んで来いだったと
言ったら、信じますか?」
敵船のクルー。 彼等2人の目は目深にかぶった帽子とサングラスに隠れている
その4つの目が 真正面から試すように自分を捉えているのを感じた
「・・・まさか。」
ありえねぇだろ。・・・いくら彼等の船のリーダーが度を超えた酔狂だからと言って、可愛がっている部下に向けて
そこまで理不尽な命令を下すだろうか

戸惑うキッドの目の前の 囚われの身分であった2人の捕虜は互いの頭を寄せ合うようにして
ふふ、と肩を揺らす。
「「どっちでしょうね?」」
ぴたりと声を揃えて、よく似た表情の2つの笑顔が キッドの前で楽しそうに揺れていた










 双眸の蜜蜂二匹、巣に帰る









元のキャラをなぞる事が出来なかったのでコラボというよりは『発案:アベベさま』みたいな話に。 アベベさん宅に
合わせて名前を文中に出そうか出すまいか迷って結局中途半端になっています。笑ってやって下さいw 途中、
「呪文」と「魔法」と「合図」のどれにするか非常に迷いました。「まるで合図だったかのように」にするなら「合図」で
いいんですけどねぇ・・・ うーん・・・(←こんなどうでもいいところで悩む事が多い) これ、ローの命令なのか分かり
ませんが、もしそうだと仮定して。その場合 キャスケットは言いませんでしたが冒頭に「2人がキッドと寝てもいいと
思ったら」が付きます。そこまで傍若無人じゃないです、船長。 そして証拠は勿論キャスに残っているキッドの歯型
ですね。あら・・・ロー船長が証拠検分なんて・・・しないんだからぁ!←  でもって、最後にキッドに冗談めかして
その事を話したのは指示ではなく純粋に2人の・・・好意、かな。キッドが そんなの信じないってのを知っていて
(知っているから、かも。)質問してみるくらいには2人はキッドを気に入りました。という感じでしょうか。
えへへ〜、文末の一文、アベベさんに考えていただきました。双眸は両目のことで「双」という字を入れたかった
との事です!ワガママに応えていただき有り難うございましたv

これ、書き上げたのは2週間くらい前でして、+Aさんからリクいただいたのは元の記事をサイトに掲載されてから
少しタイムラグがあるので元ネタを探そうと思ったらちょっと辿らないと見つからないと思います。新鮮なうちにUP
しなくてすいません!(新鮮ってw)ご興味ある方は2011年4月20日まで記事を辿って下さいませ、よろしくお願いします^^


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あきゅろす。
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