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SS置場4
食材 P



「あ、やば・・・、むず痒い、」
ねぇ、洗ってきていいでしょ、とシャワーに向かおうとしたキャスケットの腕を掴む。
初めはこんな事になるはずじゃなかった、ごく普通の食事風景だったはずなのに、席を立つ彼をふざけて引き留めるうちに
いつの間にかスイッチの入ってしまった本能に従って ペンギンはキャスケットを足止めする
「ペンギン?」
放してくんない? 早く洗わないとかぶれちゃうから、と疑う事を知らないキャスケットが無垢な目で自分を仰ぎ見る
「零したのは俺の不注意だから、責任持って綺麗にしてやる」
「へ?」
頓狂な声を出した恋人を省みず、そのまま、彼をぐいと引き寄せた


「え、ちょ、・・・何?!」
慌てる彼の首筋に吸い寄せられるようにペンギンの体が傾いて、次の瞬間には
キャスケットの鎖骨付近に口付けていた
「なっ、・・・!」
思わず身を引く相手を腕で抱き止め、更に身を寄せる。
トレイに乗せた料理が彼に零れ掛かったのはつい先程の事だ
胸元にべっとりついたそれはイーストにある島で出会って気に入ったペンギンの好みの食材で、
擦り下ろした山芋に出汁を混ぜたとろみのある物だった
「ひぁっ、ちょ、やめろよ、ペンギンっ」
肌に零れ掛かった分を丁寧に舐め取る
合間に じゅぅ、と啜り上げるのは単なるペンギンの下心による行為で さっきからのそれは
とろろが掛かっていない場所にも及んでいた
「そんなとこ、ついてないっ」
慌てた彼の声が指摘し、ペンギンの腕から逃れようとキャスケットが蜿く。
スイッチが入ってしまったのは自分だけで、こんな昼間っから何考えてるんだと文句が飛んできた

(それならそれで、キャスケットの体にも火を着けるまでだ)

ちゅ、と顎の裏側付近に赤い鬱血痕をつけながら テーブルに置いた皿へと手を伸ばす
この位置に着けたキスマークは 見落としがちで、自分のものだと主張するのが好きなペンギンは
時折彼に気付かれないようにそこに痕をつけていた
と 言っても、普通は彼より小柄な者にしか気付かれないのだが――
目敏い者しか気付かないだろう場所へのマーキング。
今日も こっそりと所有の証を刻んで満足したペンギンは 何食わぬ顔でキャスケットの襟元へ皿の中身を流し込んだ

「・・・!? 冷たっ、え、何やってんだ、ばかっ!!」
ぬるぬるした触感に何をされたのか直ぐに分かったキャスケットが怒声を上げる
それを舌で擦り込むようにしながら、じゅるじゅると音を立てて啜っていく
「も、ばか、ペンギンっ」
逆らう彼を強引に椅子に押しつけ、その膝に乗り上げるようにして動きを封じる
そうやって封じておいて、思うさま彼の肌と肌に落ちたとろろ汁を味わっていく
「放っておけば痒くなるだろう。だから綺麗にしてやる」
「だから、さっさとシャワーに行かせろって!」
「却下。」
べろり、と首筋を舐め上げると、キャスケットは息を詰めて顔を背ける
なんのかんの言っても首筋からうなじに掛けての愛撫に彼は弱い。
しつこく繰り返せばキャスケットもその気になるだろう
ついでに怒りと羞恥で赤くなった耳にも唇をつける。
こうやって続ければ流されてくれるのが常で、――勿論 後でこっぴどく叱られるのを承知の上の行為だが。
(キャスケットの怒りが少しでも少なく済むよう溺れさせてしまえばいい)
そうでなくとも彼に触れる事が好きなペンギンは、いつにも増してねちっこい愛撫を続けた


(・・・おかしいな。堕ちるのがいつもより早い)
気付けばキャスケットの息が上がっている
それだけでなく、彼の体は小さく震えていて ふらりと宙を彷徨う手が何か躊躇うような動きを見せた後、
ぎゅっと椅子の縁を握りしめた。
何かに耐えるような仕草だが、もう 身体に火が着いたのだろうか
様子を窺おうにも、キャスケットは顔を伏せてしまっている
蜂蜜を溶かしたような色の髪の隙間から覗く耳は赤い。・・・やはり彼もその気になってきたのだろうか
観察するペンギンの目は キャスケットの手に着眼した。
椅子を掴むそれはさっきより戦慄きが大きくなっている
"どうかしたか"と聞こうとするその前に、ふい、と上に上がった手は、やはり何かに躊躇うようにまた椅子を掴んだ

何かをしたい。それを我慢している

そう気付いたペンギンは、キャスケットの全身を捉えて、あぁ、と納得がいった
初めに零れた物は肌の上だけでなく、彼の服にも染み込んでいた
つなぎの前を広げた今、色が黒くて気付かなかったが中に着たアンダーにも液体が飛んでいる
キャスケットの左胸の上、硬く尖るそれに気付いたペンギンは 悪い事をしたな、と苦笑を漏らした

長時間放置されているそこが痒くてたまらないのだろう
だが、ペンギンの目の前で自分でそこを掻くのは恥ずかしい
強く椅子を握りしめて耐える彼の姿にそそられるのは確かなんだが。
『悪い、気付かなかった』
そんな言葉を口に出せば、彼は部屋を取び出して行きかねない
(すぐ、治めてやるから)
服の上からでもはっきりと分かるそこへ顔を寄せ、ぱくりと布地ごと口に咥えた


「あっ!あぁっ、んぁ、んっ」
途端にキャスケットの口から飛び出した嬌声。
身震いする彼に反応の大きさによほど痒かったのだと同情する
それと同時に、ペンギンの理性の糸が焼き切れる
もう抑えが利かないぞと灼けた脳の片隅でちらりと思ったが、激しくなるペンギンの愛撫にも負けないほど乱れる彼の様子に
ペンギンはあっさりと理性を手放した









「・・・もう、絶対ペンギンの為になんか、ごはん作ってやんない」
ぐったりとしたキャスケットの呟きにペンギンは心底困って眉尻を下げた。

途中で放り出した食事はそのまま テーブルの上で冷たくなっている
料理よりもそれを作った人間を美味しくいただいてしまったペンギンは言い訳の文句すらも用意できない。
結局、キャスケットの手料理で自分が口にしたのは例のとろろ汁だけだ
冷えてしまっていても全部食べるから、と言う言葉も 出来たてを用意してくれたキャスケットには通用しないだろう
何しろ 折角ペンギンが喜ぶだろうと手を尽くして入手してくれた食材をあんな事に使ってしまったのだから。
(ここで "お前だって楽しんだだろう"などと口を滑らそうものなら、更に火に油を注いでしまう)
いつもよりも彼の反応が激しかったのは本当だが、それが余計に機嫌を悪化させているのは明白だった
元々、キャスケットはこの手の事に酷く羞恥心を感じる性質で そのキャスケットの声を抑える事も出来ないほど
乱れた姿に興奮して昨夜はひたすら彼を貪った
「悪かった。もうしないから、そんな事言わないでくれ」
コック担当ではないキャスケットの手料理が食べられる機会はそう多くない
上陸期間が数日あって キッチン付きの部屋に泊まる事が出来た時だけのペンギンの密かな楽しみなのだ
「な、なぁ、それじゃ、山芋料理以外なら、いいだろ?」
食い下がるペンギンは必死にキャスケットの機嫌を取った
・・・が、"山芋"という単語を口に出したのは失敗で、
「知るか!ペンギンのバカ!」
そう喚いたキャスケットは思いきり枕を投げつけてベッドに潜ってしまった。
いつもの彼なら部屋を取び出しているところだが、昨夜の無理が祟って出来ないのだろう
ベッドの上の丸い塊に向かって謝罪の言葉を繰り返すペンギンに、彼から代わりの提案がなされ、
迷ったもののそれを呑むしかないペンギンはしぶしぶ頷いて承知した

『この島にいる間はセックス禁止!』

確かに、昼間あちこち出歩くのを楽しみにしていたキャスケットの予定を潰してしまったのは自分で、
上陸中 他のクルーに気兼ねなく抱き合えるのを楽しみにしていたペンギンにとっては痛い条件だが
キャスケットは「この島にいる間は」と言ったのだ
――船に戻ったら、また、抱き合える
それを楽しみに我慢を誓うペンギンは、出航当日に船のコックが山芋料理を出す事をまだ知らない

料理に気付いたペンギンと目が合ったキャスケットが真っ赤になって食堂を飛び出し、その日、
部屋に鍵を掛けて籠城してしまう事など、この時のペンギンは知る由もなかった







 食材で遊ぶと馬鹿を見る











え・・・Yさんと うどんの話をしていたはずなのにいつの間にかこんなプレイの話になっていました。 まぁいいか!←
うちにある話は絶対ペンギンスキーさんには人気ないと自覚しています。カップリングサイトでもよくある、AとBの
カップルの話をAスキーさんが書くと大抵のお話でBがへたれてたり情けなかったりイマイチ格好よくない役回りに
なるんですよね。拙宅ですと、そのBにあたる配役がローの場合は「ロー至上主義フィルター」が掛かるのでほどよく
回避できるのですがそれがペンギンだとフィルターが掛からない為イマイチな配役が大半、という結果に。 いや、
欠点は自覚しているんですけど良い配役は どうしてもローに振ってしまう外科医厨の性。・・・改善、しなければorz



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あきゅろす。
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