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SS置場3
愛人 P

診断った〜(指名手配されちゃったー )をキャスでいろいろやってみました。 診断結果↓
☆現在、殺人の疑いで指名手配中のキャスケットは、身長180cmくらい、言い訳がうまく、身ぐるみはがされている模様、
潜伏先は愛人宅が有力です


というわけで診断った〜の結果から妄想スタート!残念ながらまた駄目ペンになりました。いつもすいませんorz
攻め側が駄目ってあんまり好きじゃないんだけどなぁ・・・ 駄目じゃない攻めはローに割り当ててしまうから必然的に
ペンギンが駄目に・・・ あぁ、ホント、ペンギンさんごめんなさい! あと、文中に何が起こったかは書かれていません。
診断った〜の結果を前提に読んで下さい。 長すぎて話の流れがぶつ切れしてる感があるのですがまとめる余力が
ないのでこのままUP。 うーん、本当はもうちょと校正したい。あっ、そしてYさん!すいません、Sペンのテンションが
最後まで続きませんでした←  明らかに力尽きた千堂←













「え〜、だって俺殺ってねぇもん」
気紛れにやってくる元同級生は、棚に飾ってあったアルコールの瓶を勝手に取り上げ、どさりとソファに身を沈めた。
だらしなく背もたれに寄りかかり、きゅ、とコルクを抜く様は彼が他人の物を奪うのに慣れている事を示している
昔から、他人の迷惑を顧みず自分の思うように振る舞うこの同級生がペンギンは苦手だった。
傍若無人に振る舞う彼を見ていると苛つく
いい加減で、適当で、こんなにだらしなく生きているのに どうしてだか彼の周りには人が集まった
その親から与えられた見た目だけで他人を惹きつけているのだろうか
それとも、我が儘放題で迷惑を掛ける事も多いのに、彼と一緒に居るとなんのかんのと楽しく過ごせるという事に
皆 毒されてしまっているのだろうか

取り立てて仲が良かったわけじゃない。
むしろ、自分は このキャスケットを苦々しく思っていた
なのに彼は平気でペンギンに絡んでくる
鬱陶しい、と態度にも顔にも表しているのに、彼は全く意に介さずに自分のところへ厄介事を持ち込んでくるのだ

だが、今回ばかりは、その厄介事の種類が大きすぎた。

「じゃぁなんでその場で説明しなかったんだ。逃げるなんて疑いを持たれてもしょうがないだろう」
「だって商売の帰りだったんだぜ? ただでさえ目ぇ付けられてんのに、痛くもない腹探られんのなんかごめんだ」
飄々と言い放つキャスケットは、自分が困った立場に居るというのにさほど気にした様子もない

それでも、警察に追われている事くらいは自覚しているのだろう。
潜伏先に自分の家を選ぶとは、どれだけ迷惑を掛ければ気が済むというのだろう、こいつは。

とんでもない種類の厄介事にも変わらずへらへらと笑う彼の顔を見るうちに、じわじわと底意地の悪い思いが
沸いてくるのをペンギンは抑えることができなかった

「・・・匿ってやってもいい。」
気付いたら、そう言っていた
ペンギンの答えも待たずにアルコールの瓶を傾けていたキャスケットは、礼を言う代わりに にぃっ、と
口角を上げて笑顔を見せる
「ただし、」
ペンギンが言葉を続けても 彼の余裕の表情は変わらない
"どうせ匿う上での注意事項を細々と注文付ける"のだとでも思っているのだろう
先程思いついたくだらないアイデアを言ってやったら キャスケットの余裕の態度を崩せるだろうか

「匿ってやるなら、この屋敷にいる間は俺の愛人扱いだ」

自分が何を考えているのか把握する前に、目の前の同級生に向かってペンギンは そう言い放った





言われたキャスケットは、きょとんとした顔でペンギンを見上げた
(そんな、子供みたいな顔は久しぶりに見る)
一瞬、口から出た言葉を拾い集めて喉の奥へと押し戻したい気持ちが起こった
だが、そんなペンギンの逡巡にも関わらず 言われた言葉を理解したキャスケットは、にやりと楽しそうに唇を引き上げる


「ふぅん? 珍しいね、ペンギンがそんな事いうなんて。」
いいよ。 しばらくおまえの愛人でいてやる

そういって、ペンギンの首に腕を回しながら上目使いで見上げてきた同級生の姿に ずくりと腹の奥が疼く
(遊び慣れしやがって―――こんな奴、泣きが入るまで苛めてやるのも いいかもしれない)
自分の中に、そんな邪な思考が隠れていたなんて、その日、初めて、ペンギンは知ったのだった





「ぁ、んぁ、う、んっ・・・」
先程から休憩も与えずに立て続けに彼を抱いている
いい加減にしろ、とキャスケットは何度も怒鳴ったが、ペンギンに彼の意向を聞き入れるつもりはなかった
「しつっ・・・こい・・・っ」
文句を言うキャスケットの声にも殆ど力がこもっていない
受け身の側の彼は、体力のある方だとしてもこれだけ攻められては流石に限界をとっくに超えている
恋人のように大切に扱うつもりもない。
それを、彼に理解させるには身体に教え込めばいい

くったりとシーツに沈み込んだ肢体は、それでもペンギンの与える刺激に貪欲に従って ひくひくと震えていた
その体を 引き起こし、抵抗する力もないキャスケットを俯せにして腰を引き上げる
自分を支える余力も残っていない彼の腕は四つん這いになる事も出来ず、無理に立てられた膝だけが
彼の細い腰を支えている
逆らう声を出す気力も無い彼の 汗と体液でぐちゃぐちゃの双丘を割りさいた

こんなにもへたりきっている相手に更に続きを強いるのも、彼に自分の立場を教え込む為だと自分に言い聞かせる

も、無理っ
俯せの姿勢で背後からペンギンにのし掛かられ、逃げ場のないキャスケットが泣き言を漏らした
その彼に更に体重を掛けるようにして、意地悪な気分で耳に言葉を吹き込む
「愛人なんだろ、これくらい。」
言うと同時に、彼の後孔に猛る己をあてがった
「ちょ、ひっ!やめろって! あ・・・、っ」
嫌がって弱々しく蜿くのにも構わず、強引に内部に押し入る
くたくたに疲れているのであろうキャスケットは、それでも背を反らして与えられる刺激に耐えていた

(自分の気紛れで 飽きたら出ていけばいいなどと都合のいい事を考えていたんだろう?)
・・・いい機会だ。
ちやほやされて、いい気になってる同級生の鼻っ柱をへし折ってやれば こいつも少しは懲りるに違いない
(俺の腹立ちだって少しは治まる)
癪に障るのだ
(誰にでもへらへらいい顔見せて、好き放題の、こんな男は)

こうして嫌がる彼を押さえつけてみれば、自分はもうずっと キャスケットを組み敷いて彼のプライドを
踏み砕いてやりたいと望んでいた事に気付く
"出ていく自由があるとは思うなよ"
もう啜り泣きのような呼吸しか出来なくなっているキャスケットに、そう言ってやりたいのをペンギンは辛うじて堪えた
今はまだ 自分の優位を信じる彼の勘違いを正す時じゃない
(せいぜい、遊びのつもりでいればいい)
此処から逃げようったって絶対に放すもんか、とペンギンは腹の中でほくそ笑む

(気分はどうだ? 王様。ちやほやとかしずく取り巻きの居ない此処じゃ、おまえの魅力も意味がない)
乱暴に彼の内部を抉りながら、限界を超えてボロボロと涙を流す彼を見下ろす
合意の上とはいえ、キャスケットの意思を無視した強引な、過ぎた愛撫は強姦に近い。
腰から下を我が物顔に犯されて悲鳴のような嬌声を上げる彼の耳には、囁いても届かないだろうと
胸中で侮蔑の言葉を並べ立てる
まだ、
自分がペンギンを振り回していると信じているのだろう彼を、意のままに嬲る行為。
単純な頭はペンギンが興奮のあまり激しさを増したのだと理解するだろう
(囚われてしまったと気付くのはいつになるだろうな)
ぐちゅぐちゅと音を立てて、疲労困憊で魂の抜けたようになった頼りない身体を突き上げる
「・・・こっちは勝手に楽しませてもらう」
ペンギンの漏らした不用意な一言は、短く声を上げて果てたキャスケットの耳を 素通りしていった






 
「何考えてんだよ、ばかっ!」
昨夜、最後に抱いた後、意識を失うようにして眠りに落ちたキャスケットは 翌日昼過ぎまで目を覚まさなかった
起きたらしい彼に朝食を運んでやったペンギンに向かって 掠れて割れた声で喚くキャスケットは、大したものだ、
あれだけ痛めつけたというのに体を起こせるくらいには回復したらしい。
「悪い。 調子に乗りすぎた。 ほら、先に喉を潤せ」
彼の機嫌を取るような言葉を沿えて 運んできたトレイをベッドサイドに丁寧に据え付ける
まだ文句の良い足りなさそうにペンギンを睨んだキャスケットは、それでも今の喉の状態では文句も言えないと
思ったのか むくれた顔でトレイの上の飲み物に手を伸ばした
「機嫌を直せ。 体は綺麗に清めてやっただろう」
「・・・それっくらい当然だ」
本当なら怒鳴り返したいところだろう彼は喉を慮ってか普通のボリュームで言い返した
無茶をしたのはペンギンだから後始末くらいして当たり前だと言いたいらしい
だが、キャスケットが怒りを根に持たないのは知っている
食べ終わる頃には彼の機嫌も直っているだろうから、それまでは下手に出てやるさ
食事だって、意外と舌の肥えているキャスケットを満足させるものを用意した
裕福な出でもないキャスケットは粗末なものでも文句は言わないのだが――
(機嫌は直ったか? 掃きだめの王)
彼は貧しさが原因で実の姉を亡くしている
(あれからだ。奴が、手段を選ばなくなり 奪うことを躊躇わなくなったのは)
・・・・気に入らない
簡単にプライドを切り売りできる、くだらない輩に成り下がった男。
奪うことにも、奪われる事にも慣れた男を支配するにはどうすればいい?
――簡単だ。それだけは唯一守り通している "自由" を彼から取り上げる
(出て行く自由は無いぞ)
昨夜も思った内容を、気怠そうに朝食を胃に収めていくキャスケットを見ながら ペンギンは胸裏で繰り返した



「ごちそうさま!」
ほら、やっぱりこの男は単純だ
厄介者の居候には過ぎるほど美味い食事にキャスケットは もう機嫌を直して調子の良い笑顔を浮かべている
旨かったか? という質問に頷く顔は 学生の頃と変わっちゃいない
むかつくと同時に どこか憎めない部分を彼が持つ事から目を逸らしつつ、ペンギンはキャスケットのさらさらと
指通りの良い髪に手を伸ばす
なんだ?と目を向けるキャスケットはペンギンの好意を欠片も疑っていないのだから不夜城を生きる者にしては
どこか抜けている
触れた指を、意図を持ってうなじから首筋へと滑らせたペンギンを驚いた顔で見上げた彼は、その手の
性的な目的を知って両の目を見開いた
「はぁ? 何、考えてんの?」
おまえ昨日あれだけヤったのに、まだ足りねぇとか言う気か?
驚きから立ち直ったキャスケットの舌が矢継ぎ早に文句を弾き出す
「正気か? 冗談じゃない、おまえの底なしの欲に付き合う気はねぇぜ。だいたい、こっちの負担も考えろ!
猿かよ、おまえは」
食事を済ませた事で元気が出たのか、昨夜・・・いや、今朝方あれほどグロッキーだったキャスケットの口撃は容赦ない
「食後の軽い運動だろ。これくらいつきあえよ。・・・愛人」
最後の言葉を わざと蔑むように言ってやると、漸くキャスケットもペンギンの異変を嗅ぎ取ったらしい
「嫌なこった。 そんなにヤりたきゃ自分でやれよ。おまえの性欲にゃ付き合いきれねぇ」
気付いた彼の変わり身の早さは賞賛ものだった
『甘えてペンギンをいい気分にさせてやって、代わりに当面のヤサを提供させる』
そんな契約は もう反故だ。過度の欲求には応えられないね、と冷たく背を向ける
ただ、キャスケットにとって想定外だったのは あっさり引くと思ったペンギンが予想外にこの事態に執着した事と、
昨夜の乱暴で まだ自由の利かない足腰の存在だった

「ちょ、何、」
帰る、とベッドを出ようとしたキャスケットを捉えて引き倒す
「放せよ!」
暴れて逆らっているつもりらしいが 昨夜の情事を引き摺った身体じゃ高が知れている
「昨夜言い忘れたが、」
「っひ、・・・・!」
ローブしか羽織っていないキャスケットの身を守る防御は薄い
容易く剥き出した双臀の谷間に容赦なく指を突き立て悲鳴を上げさせる
「やめ、ペンギンっ」
伸び上がって逃げを打つキャスケットの身体を押さえ付け、その髪に優しく唇を付けて続きを伝える
「出て行く自由は、おまえには無い」
「あ!・・・・ぁ、く・・・」
散々蹂躙されて、まだ柔らかさを保っていたそこへ欲の塊をねじ込みながら、
"愛人として不自由ない生活はさせてやるから安心しろ" と囁き掛け、(この家からは出さないが) と脳内で補足した








「ん・・・・ん、んっ、も、はやくっ、イけ、よっ」
ゆさゆさとキャスケットが揺さぶられながら切れ切れの呼吸の中で減らず口を利くのはいつもの事だ
"所構わず盛りやがって、この絶倫色魔" と後に続いたのは、ここが2階へ上がる階段の途中だからだろう
食事も物も、必要なだけ贅沢に与えられる、ペンギンの愛人生活にも、キャスケットは慣れた
最初のうちこそ逃げようとしていたのだが 悉くその機会を潰し 逃げても嫌がっても彼を抱き尽くした。
このところずっと、キャスケットの服を着た姿を目にしていない
いつ、ペンギンの手が伸びてくるか分からない日常で 彼が身に纏うのはローブかシーツという簡易な物だけだ
「逃げるのは諦めたのか?」
聞いてもキャスケットは答えない
代わりに、よがり声を上げながら腕を伸ばし、ペンギンを引き寄せてキスを強請る
王様のマントを引き剥がし、誰にも会わせず飼い殺しの生活を押しつけた
ペンギンは、ただの愛人に成り下がった彼にとって唯一の王。
傅く立場になったキャスケットを見て 漸く 自分がかつての不遜で自由奔放な彼を苦々しく思いながらも
好んでいた事に気が付いた
――今の彼には魅力を感じない。
自由な自分の意思を持たず、ただペンギンに望まれるままに身体を開く肉の塊―――
肉体的には、キャスケットは確かにペンギンを満足させている。 だが、そんな彼を手に入れた喜びは驚くほど僅少だった。
どんな事にも好奇心いっぱいで、人生を楽しむ事にかけては右に出る者が居ないほど活発だった彼の元に人が集まるのも当然の事。
常に溌剌と輝く彼の放つ生命力は周囲の者をも巻き込んで 生きる喜びを共感させる
キャスケットの多少のおねだりや劫掠など、彼等にとっては笑って許せる些細な事だったに違いない

それを、ただの薄汚れた愛人に変えたのは自分だ
(ここに居ては 駄目だ)
自分は キャスケットを曇らせる。 手放す決意に踏み切れないまま 彼をカゴの鳥にしてしまう
いっそ、逃げ出してはくれないか

そんなことを考えた翌日。
いつものように朝食を運んだペンギンを迎えたのは、主の居ない空のベッドだった


――逃げてくれてほっとした
潜伏中の彼の立場を利用して、金で買われた娼婦のように扱った
それを受け容れたキャスケットにも、彼の弱みにつけ込む自分にも嫌気がさしていたのだ
持っていた朝食をテーブルに乗せ、小さく溜息をついて誰もいないベッドに腰掛ける
彼の姿がなくて安堵したのと同時に気が抜けてしまったのも事実で、何をするともなくぼうっとしていたペンギンは
傍らで鳴っている電話に気付いた
(いつから鳴っていたんだろう)
ぼうっとするにも程がある
「・・・はい。」
繋がった電話の向こうから聞こえてきたのは、久しく話していなかった相手だった。
何か気晴らしになるような話題でもあるかと耳を傾ける
声の主はキャスケットと同じく、元クラスメイトのうちの1人。
「珍しいな、最近顔を見せていないがどうしてた?」
当たり障りのない挨拶を口にしたペンギンに構わず、相手は いきなり核心から話し出した

『キャスケット居るんだろ。容疑者が捕まったから そろそろ顔出せって伝えろ』

意外な言葉に息を呑む
キャスケットは、ここに潜伏すると彼に話していたのだろうか
『ペンギン? 聞いてるか?』
こちらの様子を何か感じたのか、訝しむように聞かれて 思わず彼に聞き返した
「なんであいつが来たって・・・」
知ってるんだ、そう聞く前に返事が返ってくる
『んなの、分かり切ってるだろ。昔っから何かあるとあいつが頼ってたのはおまえだ。 ああ見えて
キャスケットはおまえが絶対に裏切らないと信用してる。・・・あ?俺?』
ペンギンの疑問に、電話の相手は ふふ・・・と笑った。
"俺はあいつの無実を晴らしてやらなきゃいけねぇしな"
とだけ言った級友の後ろで訪問を示す音がした。
受信口から聞こえる誰かの話す声と動く音の後に
『悪い。伝言、もう必要なくなった。』
そう一言が聞こえて、通話は切れた

(あぁ・・・ローの所に、行ったのか)

しばらく電話を握ったまま ぼんやりと座っていたペンギンは、ぽつりと落ちてきた結論に大きく溜息を吐いて、
皺一つない綺麗に整ったシーツへ どさりと沈み込んだ








「よう、ペンギン。 晴れて自由の身になったぜ? 警察も時間は掛かったけどちゃんと仕事をしたらしいな」
"愛人"の居ない生活に漸く慣れ、何度かボロを出しながらもそれまでの生活ペースを取り戻りつつあったペンギンが
仕事から帰宅すると、リビングで見慣れた人影が出迎えた
「な・・・!?」
驚きで思考も停止したペンギンの目の前で、ゆったりとソファに腰掛けたキャスケットがグラスを傾ける
それは 此処にいる間 彼が好んでいた銘柄で、飲む気になれなかったペンギンが放置していたものだ
「なんで、此処に・・・?」
漸くそれだけを発したペンギンの目の前で キャスケットは以前と変わりない飄々とした態度で首を傾げる
「俺がここに来るのに理由なんて要るか?」
言われてみれば。 
以前のキャスケットは気紛れに好きな時に来て好きなようにペンギンを引っかき回していた
(それを、楽しいと感じていた事には 気付くのが遅すぎたのだが)
「・・・にしても、よく 来る気になったものだ」
呆然とした言葉は 呆れたようにも聞こえたかもしれない
キャスケットは ははっ!と笑って飲み終えたグラスをサイドボードに向かって放り投げた
「なんで? あんなの、ただの"愛人ごっこ" だろ? まぁ、ちょっとばかし体力的にはキツかったけど、
あんなの遊びだ、遊び!」
ガチャン、と音を立てて転がったグラスは、罅でも入ったかもしれないが そんな事はどうでもよかった
それがバカラだった事にも気付いていたが、目の前の彼が言った事に比べると些細にしか思えない
ふふっ、と笑ったキャスケットが 下からペンギンの顔を覗き込む
「それとも、今夜も その遊び、するか?」

ぎくり、と身を固くしたペンギンは、間近に見た久しぶりのキャスケットの顔に僅かに緊張が走っているのを見てとった
よく見れば顔色も普段のキャスケットの状態よりは若干白い。
本当は 彼だってもう一度囲われる恐れを抱いているのだ
それを隠してまで誘惑の素振りを見せているのは、怖じ気づくペンギンに『自分は気にしちゃいない。
大したことじゃない』 と彼なりの方法で伝える為だ

「いや・・・・、今夜は、やめておく」
断るペンギンの言葉に キャスケットの目に傷ついたような色が浮かんだように見えたのは、
多分、自分の気のせいじゃない

す・・・っと 自然に腕が上がった
ソファに座るキャスケットの髪を ペンギンの指が優しく梳いていく
断りの言葉と裏腹の態度に 初めてキャスケットが戸惑った顔を見せた
――彼の不安を長引かせたくはない

「これから、新しい遊びをしないか」
ペンギンの、らしくない提案にキャスケットが目を見開く
その彼の頬を両手で包み込む。
指でなぞるキャスケットの頬の 滑らかな手触りを懐かしく思いながら、ゆっくりと口を開いた

「愛人なんかじゃなくて、俺の、恋人になってくれないか」

一瞬、ぽかんと口を開いたキャスケットは、次の瞬間けたたましい笑い声を上げる。
至極まじめに言ったペンギンにとっては面白くはないが、彼の緊張が解けた反動だろう

「は、・・・・あは、はっ、 なにそれ、ペンギンらしくない!」
ひとしきり笑ったキャスケットは、まだ治まらない笑いを堪えながら、ペンギンの手を引っ張った
「先に聞くけど、それ、期限はいつまでさ」
「一生」
間髪入れずに返答して、答えを待たずに口付ける
久しぶりの柔らかい感触に密かに感動しながら 何度も、何度も2人はキスを繰り返した









 愛人 〜L' Amant〜


「キャスケット」
「ん・・・何?」
「返事は」
「・・・俺、かなり我が儘だけど」
「恋人に振り回されるなら本望だ」











↑キスの合間の2人の会話でした^^



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