SS置場3 恋い人〔Catch!投稿〕 P 「ペンギンには可愛くて優しい子が似合うと思うんだよな!や・・・案外しっかりした大人の女性の方が合うのかなぁ?」 紹介された、友人の女友達と会ったその帰り道。 乗り気だった相手の子の次は二人きりで会いたいという申し出を断って紹介者のキャスケット共々不機嫌にさせてしまっての 帰宅途中で、気を取り直したらしい友人は もう次のペンギンの彼女候補をピックアップしている どこでどうやって知り合うのか 確かにキャスケットの友人は豊富で、これまで何度も彼の女友達に会っているが 一度として同じタイプを紹介された事がない 「おまえが好きだと言ってるのに」 いい加減無駄な事をしていると気付いて欲しい、と思いながら軽口に紛れるようにペンギンは本音を舌に乗せる 好きだと伝えるのもこれが初めての事ではないので口にするのに躊躇いはない そして、それをキャスケットが聞き入れないのも、いつもの事だ 「何言ってんだ、それは何かの気の迷いだって!俺は男だぞ?おまえの恋人はもっととびっきり素敵なレディじゃなきゃダメだ! それよりも、おまえ理想高過ぎんだよなぁ・・・何人紹介しても頷かないんだから。いい加減手を打てよ。いくら俺の顔が 広いからって高望みし過ぎても――、」 「だから。俺は恋人にするならおまえがいいんだ、俺の言う事も少しは聞け」 まだまだ続きそうだったキャスケットの怒涛のトークを強引に遮る。 並んで歩いていたキャスケットの肩を掴んで無理矢理こちらを向かせると 彼は泣きそうな顔でペンギンを見た 「駄目か?」 と重ねて聞けば その顔をくしゃりと歪ませる 「キャスケット?」 先程までの勢いはどうしたのか言葉を忘れたクチバシを震わせて じっと立ち止まった彼の顔を覗き込む。 女の子を紹介される度に付き合う気もないのに会っているのは彼の元気なさえずりを聞きたいがためなのに 「駄目だよ・・・ペンギン。 俺は、理想の恋人にはなれない」 漸く言葉を思い出した彼は弱々しい声でそう言った 「どうしてだ?」 いつもと違う様子のキャスケットに質問を続ける。 普段の彼の途切れる事のない喋りはペンギンに口を挟まれるのが怖いからだと薄々気付いていた。 その彼が口籠もりがちに あちこち視線を彷徨わせる ・・・迷っているのかもしれない だったら 付け入る隙を見せられて 黙って手をこまねいている事はない 答えるまで許さないという気迫を感じたのか、キャスケットが観念したように重い口を開く 「俺は男だもの。休みの日に手をつないでデートに向かうだとか、人目も弁えずにいちゃいちゃして抱き合うだとか、 俺が相手じゃ出来ないじゃないか」 「つまり、それがおまえの理想なんだな?」 「え?」 戸惑うように いつの間にか落としていたキャスケットの視線がこちらを向く 「ちょ、ペンギン?!」 焦った声が上がったのは、その彼の手を握って引き寄せ 驚きに固まった体を腕の中に閉じ込めたからだ 俺に似合いだという理想の彼女を語るキャスケットの言葉は 裏を反せば彼のして欲しい事だと、鈍い自分にしてはよく気付いたと思う 「おまえが信じるまで何度でも言う。俺の、理想の恋人はおまえなんだ、キャスケット」 「・・・・っ」 いつもなら間髪入れずに飛び出してくる彼の反論が聞こえない。 それをいいことに抱き締めたままのキャスケットの体は微かに震えているのが腕に伝わってくる 遮る言葉のない状態できっぱりと言い切った。もう、逃げ道なんか残してやらない 「おまえが恋人だって幾らでも公言してやる。人目を気にせずいちゃつくのなんか寧ろ歓迎だ。嫌だと言っても放さない」 次第に大きくなるキャスケットの震えごと抱き締める腕に力を込める ・・・泣かせてしまったかもしれないな。 だが、逃がすつもりなんかない 「つかまえた。今日から俺の恋人はおまえだ」 そろそろ観念しろ、十年来の想いなんだ。俺はしつこいぞ? そう告げて 逃げる身動ぎすら出来ないでいたキャスケットの濡れた頬にそっと唇を寄せた 言い訳も逃げ道も、おまえの不安も全て潰す 本当は、とっくに落ちているくせに 器用に見えて不器用な貴方 くぅ!これロキャスでやりたかったなぁ!やぁ、でもローだったらペンギンみたいにキャスが逃げ道 作ってるのを許さないと思うんだよねー。とっくに覚悟を決めさせて自分のものにしてると思うもの。 ペンギンは、ちゃんと待ってあげる。でもいつまでも待ってるほどお人好しでもない。 っていうベタ 展開SSSでした^^ 最近ロキャスばっかり書いてる気がしてPxCを。でも企画がPxCばかりに・・・ι [*前へ][次へ#] [戻る] |