SS置場3 蜘蛛の糸U〔Catch!投稿〕 P 「Catch!」に投稿しました。前回の2人で、さらに短い一場面。 ハッピー系2点(うち1点はラブコメ風?)、 ホラー系1点ときたら不幸系も1点あってもいいよね 「・・・・っ、」 談笑の最中の何気ない彼の言葉でキャスケットが息を呑んで固まった。 「・・・? おまえら、付き合ってるんだろう?」 訝しむ彼の悪意ない質問に反論するかのように顔を上げたキャスケットは 否定も肯定も出来ず、 先程までの名残の笑顔を顔に貼り付けたまま 結局曖昧に俯いた 横にペンギンが居るとはいえ、想い人との会話に嬉しそうに頬を緩めていたキャスケットにとっては、 "天国から突如 突き落とされた地獄"に居る心境だろう 彼の纏った空気が薔薇色から真っ暗に変わる様は 元凶であるペンギンですら一瞬気の毒に感じた ――だが、これは彼を追い詰める絶好の機会。 手に入れる為なら、自分はどんな酷い事もできる 恨まれるだろう事を承知で 取り繕う余力すらない彼の肩に然り気無く手を乗せる 触れたペンギンにしか分からない程度の微かな身動ぎがキャスケットの拒絶を表していたが、構わずこちらに引き寄せた 傍で見ている分には寄り添っているように思えるだろう 案の定 ペンギンの思惑通り、彼もキャスケットが照れていると取違えて にやにやと口元を歪め 冷やかしの言葉を掛け二人きりにしてくれる。 ぽんっとペンギンの肩を叩いて出ていく彼の視線を否定せず口元に笑みを敷いたペンギンは 先程の質問を肯定したも同じで―――こうして外堀を埋めていく 彼の気配が部屋から遠ざかっても 目線を床に落としたまま顔を上げないキャスケットは 固く握った手を震わせ唇を噛んでいた 否定出来るわけがない。 それは、好きでもない相手に抱かれていると告白するに等しい 本当は 泣き叫ばんばかりに違うと喚きたいだろうに、キャスケットに出来る精一杯の抵抗は無言を押し通すくらいしかない ――ペンギンに抱かれている事を 彼に気付かれていたショックも大きいのだろう 肩を抱いた腕に力を入れ引き寄せてもされるがままで 唇が触れる直前になって漸くキャスケットが現実に立ち返る 「・・・や、っ」 今から避けようとしても もう遅い 彼が嫌だと言い終える前に唇を塞いで乱暴に舌を捩じ込む 舌を絡め、歯列をなぞり しつこいほどねっとりと口付け、徐々に震えの大きくなるキャスケットの肩を抱き、 抵抗する意思をすっかり奪い去るまで口内を犯す 諦めろ。 おまえは俺のものだ 心こそ最後まで手離さずに済んだかもしれないが、その代わり身体は髪の一本まで全て俺に握られている (逃がさない) 「・・・・俺の ものだ」 思わず漏れた小さな声を捉えて 彼の体が ひくりと震えた 蜘蛛の糸 絡め取る、放さない、捕らえた貴方がゆっくりと至る死だけが、私のもの 蜘蛛の糸というと まず浮かぶのが芥川/龍之介ですが、この場合は蜘蛛の巣を指しています。 囚われのキャス。 [*前へ][次へ#] [戻る] |