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SS置場3
拍手ログ 狼・羊パロ P
拍手ログ。以前の羊・狼パロの、「本当はこうだった」編。狼羊パロです。









「あひるー」

「ちょうちょー」

どこかから、子供の楽しげな声がする
その声よりも ぷんぷんと香る獲物の匂いにつられてペンギンはそちらへ足を向けた
これは、きっと まだ大人になる前の 柔らかい子羊の匂いに違いない。

「こっちのかたまりはカエルー♪ あっ、あれ、ぴょんぴょん跳ねるうさぎみたい」
見晴らしの良い丘で、一匹の羊が空を見上げて声を上げている
周りには大人の姿は見当たらない
それどころか、その丘には見渡す限り、彼の仲間の姿すら無かった

(迷子・・・だな)
都合が良い。
彼を庇う者が誰も居ない場所で、ゆっくりと柔らかい肉を堪能できる
酷くそそられる旨そうな匂いに ぺろりと唇を舐めると、ペンギンは、子羊が驚いて逃げ出す事のないよう そうっと彼に近寄った




群をはぐれて一匹で楽しそうに空を流れる雲を眺める美味しそうな獲物に歯を立てようとしたペンギンは、
「こんにちは。お兄ちゃん、お名前なんていうの?」
えへっ、と弛い笑顔を浮かべた餌に目を奪われて固まった


「・・・ペンギン、だ」

無言のペンギンを 疑いもせず見つめる大きな目に 気付いた時には勝手に口が名前を名乗っていた

「おれ、キャスケットっていうの。お兄ちゃんの声、低くてカッコいいね!」
にこぉっと顔中で笑ったその純真な笑顔に ドキッと心臓が跳ねる

「おれねぇ、ママ達を見失っちゃったの。みんな、どこ行っちゃったのかなぁ」
少し不安げにあたりへ目を配った羊に、お兄ちゃん見なかった? と再び下から見上げられて バクバクと心臓が騒ぎだす
――なんてこった。
自分は 今まさに喰らおうとしていたぷにぷにと柔らかそうな肉を持つ子羊に惚れてしまったらしい
心地よい風が彼のよく手入れされた綺麗な羊毛をなびかせるのすらスローモーションのようにペンギンの目に焼き付いた
緊張のためか、乾いた喉を軋ませながら 掠れた声を絞り出す

「一緒に、探してやろうか」
「本当?!」
目を輝かせて嬉しそうに笑う子羊の顔から目が離せない
こんな、子供が相手なのに、煩いほど高鳴る心臓が苦しくて仕方なかった




それが、狼のペンギンと 羊のキャスケットの、運命の出会いだった









 つづかない。っていういか、ペンギンなんてショタ、この変態狼め! あ、拍手は書き初めの番外編SSSに差し替えました


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あきゅろす。
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